ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
株を買うための調査として購入した商品
翌日、三福はずいぶんと賑やかだった。
「ぎゃーっ、その香炉だけはやめて!! いくらの代物だと思ってるの!!」
サラ柴の悲鳴が聞こえてくる。
「こらーっ、お前たち、運動会はやめろ。おとなしくしないと、もう連れてこないからな!!」
どうやら、マハ・カラの子供たちが来ているようだ。
「こんにちは」信二たちが入口を開けると、幼稚園児ほどの小さな男の子が2人、姫奈に飛びついてきた。
「わー、かわいい。双子さんですか?」
「やぁ、姫ちゃん。そうなんだ。そっちが岩治で、こっちは金太」
「岩治と金太? 古風な名前なんですね」信二が反応する。
「うん。妻は日本人だから、日本らしい名前にしたいって」今度は姫奈が反応する。
「ところで、マハ・カラさんって、おいくつなんですか? まだこんなに小さなお子さんがいるなんて」
「えっ、ボク? 今年36歳」
「ええーっ? そんなに若いんですか」信二も姫奈も驚いた。確かに36歳といわれるとそんな風にも見えるが、2人は勝手に50歳前後と予想していたのだ。
「老け顔ってよく言われるのよ。あんたたちもボクのこと、もっとジジイと思ってたんでしょ! ガハハハハ」
信二は頭を掻きながらも、否定はしない。
「あっ、そうだ。これ、君たちにあげるよ」
ここに来る途中、スーパーで買ったハイキッスの新商品をカバンの中から取り出した。株を買うための調査として、スポーツショップやドラッグストアではプロテインや健康食品を、スーパーではお菓子や飲料品を調べていたのである。そのついでに、モリタン製菓のお菓子も買っていたのだった。子供たちは喜んで食べ始めた。
「ありがとう。2人とも大好きなんだ」信二たちがいつもの席に着くと、マハ・カラは子供たちを連れて出て行ってしまった。
「うちの子がいると邪魔でしょ! それに今日は井の頭公園で象を見る約束なんだ」
井の頭公園には小さな動物園があって、そこに子供たちを連れて行きたいらしい。ぼーん、ぼーん、ぼーん。古時計が3時を知らせた。
「ふーっ。やっと落ち着いたわ」
いつものように静まり返った店内で、サラ柴は汗を拭く。
「さて、今日は新しい銘柄を探してくる約束だったよね。何か良いのは見つかったかな?」
エビ銀の質問に姫奈が答える。
「はい。今回もそんなには自信がないんですが、この会社はどうかなって」
姫奈は、信二がエクセルで作ったシートを取り出して見せた。そこにはモリタン製菓と書かれており、PERやPBR、最近の業績推移などがまとめられている。
