移り住めばうまくいく…甘い幻想を打ち砕く現実
40年近い歳月がたっていることもあり、知っている人はほとんどいません。それでも小学校時代の旧友に会ってみると、「わざわざ、こんな田舎に一人で? 何にもないし、若い子はみんな東京がいいって出ていくのに、物好きだねぇ」という言葉。
また、毎日の生活の細かい不便さが積み重なりました。雨の多い山間の気候、店の閉店の早さ、少ないバスの本数。冬の寒さは想像以上に過酷。わかってはいたものの、不慣れな車の運転をするのも恐怖を感じました。
「仕事も、上限関係や効率の悪さが目について。これは田舎だからということではないのかもしれませんけど。何か言うと『東京とはやり方が違う』って言われてしまって。私は何も言わなくても、周囲は『東京から来たよそ者』だと思うんですよね」
移り住めば、自分に合った暮らしが待っている……そんな楽観的な気持ちで決めたUターン移住。ですが、現実はそんなキラキラしたものではありませんでした。
結局、移住から1年もたたないうちに、東京に帰ろうと考えた江里さん。しかし、意外な決断をすることになります。
理想化していた故郷…江里さんの決断
「もう一度東京で暮らそうと思って、移住で色々相談した町役場の人に会いにいったら、『あきらめが早すぎる。まったく東京の人は、生き急ぎ過ぎだ』って笑われちゃったんですよ」
どんな土地であろうと、馴染むのはそれなりに時間がいる。職場だって、入社して1年ぐらいは居場所がなくて落ち着かない。でも、2年・3年たつうちに仕事ができるようになって、人間関係も広がって、居心地がよくなるものじゃないか。それは暮らす場所も同じ。せっかく手間暇をかけて移り住んできたなら、あと少し、ここにいてみたらどうか――。そんなことを言われたのです。
「確かにそうかもって思いました。それで、もう少しここで頑張ろうと決めたんです」
生まれ育った土地を理想化していた自分。しかし、他人も自分も、土地も、すべて変化していました。そんな中でも、気長に構えて様子を見る決断をしたのだといいます。
「ここは空気も水も綺麗でおいしい。私も訛りが戻ってきて、地元の人たちとの距離も縮まり、最近はいいところが見えるようになってきました。それでも『やっぱり駄目だ』と思ったら、その時は東京に戻ればいい。こう考えると、東京も今や私の故郷といえるのかもしれませんね」
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