(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化が進む日本では、親の介護に直面する子ども世代が急増しています。特に、介護と仕事を両立しながら家計のやりくりにも苦しむ「中間層」にとって、老親の支援は心理的にも経済的にも大きな負担となります。一方で、親の側も「子どもには迷惑をかけたくない」と、自らの生活を切り詰めて援助を拒むことも少なくありません。

「申し訳なさと後悔がこみ上げます。でも…」

日本では、高齢者の生活費の大部分を公的年金が支えていますが、特に単身高齢者では、家計の余裕が少なく、医療・介護費の増加が生活を圧迫する傾向にあります。

 

介護保険制度により、一定の自己負担で訪問介護などが利用できる仕組みはあるものの、要介護認定を受けるには申請・調査が必要で、軽度な支援では制度の網からこぼれるケースも多く見られます。また、扶養控除制度や高額療養費制度など、家族による支援を後押しする制度もありますが、十分に認知されていないのが現状です。

 

「通帳の赤い線を見るたびに、申し訳なさと後悔がこみ上げます。でも今は、“知ろうとしなかった自分”を責めるより、父の想いを引き継いでいこうと考えています」

 

美香さんは現在、高齢者の生活支援や制度について自ら学びながら、同世代の友人にも情報共有を始めているといいます。「自分の親も、誰かの親も、限界まで我慢してしまうかもしれない。だからこそ、こちらから手を差し伸べる知識と余白が必要だと気づきました」と語ります。

 

高齢の親世代は「子どもに迷惑をかけたくない」「自立していたい」という気持ちから、本音を語らないことも少なくありません。けれども、“通帳に残された赤いマーカー”のような小さなサインを発していることもあります。

 

制度の知識と心の余裕。どちらも、今の私たちにとって欠かせない「親を守る手段」なのかもしれません。

 

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