(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職とは、「会社員」という最大の役割を終える日です。しかし、夫が初めて“個人”として家庭と向き合ったとき、そこに自分の居場所がないと気づくことも……。本記事では、恵子さんの事例とともに、定年後に訪れる“心の再編”について合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。※相談事例は本人の許諾を得てプライバシーのため一部脚色しています。

老後に意識すべき最大の資産防衛策は「心のメンテナンス」

恵子さん夫婦は現在、週に一度「外食の日」を設けています。家事から解放された時間に、2人でゆっくり話す。「同じ空間にいるだけでいい。無理に話さなくても、少しずつ気持ちが通じ合えるようになってきたような気がします」と笑います。

 

退職後の離婚は、双方に「経済的リスタート」を強いる決断。

 

老後を豊かに生きるためには、「お金のメンテナンス」と同じくらい「心のメンテナンス」が必要です。中年期から高年期への移行期の変化を恐れず、関係を“更新し続ける”こと――それこそが、心も家計も破綻させない最大の資産といえるでしょう。

 

恵子さんはいま、こう語ります。

 

「離婚の危機があったからこそ、夫婦で向き合う時間が持てた。もし夫がなにもいわずに我慢し続けていたら、いつか取り返しのつかないことになっていたかもしれません」

 

定年という節目は、終わりではなく“再出発”のとき。心を通わせる努力を惜しまないこと。それが、老後破綻を防ぐもっとも確実な方法なのです。

 

 

三原 由紀

合同会社エミタメ

代表

 

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