ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
満員電車と社内ストレス…心身をすり減らした日々からの脱出
息もできないほどの満員電車に揺られ、会社に着けば終わらない社内政治と人間関係のストレス。営業職として厳しいノルマに追われる毎日──。
そんな生活に心身をすり減らした佐田稔さん(仮名/52歳)は、新卒から勤めていた都内のメーカーを退職したばかりです。退職金約800万円と、20年かけて積み立てた資産を合わせ、9,000万円近い金融資産を手にFIRE生活へと踏み出しました。
佐田さんには離婚歴がありますが、子どもはすでに社会人として独立しています。養育費も支払い終え、残りの人生は、若かりしころに夢中になったスキーを思い切り楽しもうと、長野県のスキー場近くに移住しました。
事前にFPへ相談して老後までのシミュレーションを済ませ、資産運用と取り崩しの計画から「月20万円あれば暮らせる」と見込み、満を持してFIREを決断。窮屈な日々から解放され、憧れの自由な暮らしが始まりました。
夢にみたスキー三昧の日々だったが…
移住当初は、思い描いたとおりの理想的な日々でした。早速スキー場のシーズン券を買い、ほとんど毎日ゲレンデへ。滑り終えたあとは、のんびりと温泉に浸かる。会社員時代のストレスが嘘のような、まさに夢の毎日でした。週末には都内から旧友を招き、昔のようにスキーと宅飲みを楽しむなど、充実した時間を過ごしていました。
ところが春を迎え、スキーシーズンが終わるころ、佐田さんはある変化に気づきます。
「時間が、余る」
スキーという最大の目的を失った途端、ぽっかりと心に穴が空いたようでした。手持ち無沙汰になった彼は、ロードバイクを買って山道を走るなど、新しい趣味も試しました。しかし、どれも一時的な気晴らしに過ぎず、やがて孤独と退屈が心を侵食しはじめたのです。

