「きっと支払っていけるはず」根拠のない楽観主義の末路
しかし、購入から7年後、事態は最悪の方向へ向かっていました。
奈緒さんはパートを始めたものの、子育てと仕事の両立が思った以上に負担となり、フルタイム勤務を諦めることに。年収は100万円程度と想定より低くなりました。
一方の翔太さんはというと、家を購入した後、収入アップを目指して転職。しかし、配属先の上司と相性が悪く、1年もたたずに退職してしまいます。慌てて再就職先を探すも、希望年収には届かず520万円にダウンしました。
「もっと収入が増える予定」という、楽観的な前提で買ったマンション。しかし、実際には世帯年収は620万円と、増額はわずか。その一方で、ローンはもちろん、管理費・修繕積立金の負担も重くのしかかり、息子たちの成長に伴う教育費や食費の増加は想像以上。車の買い替えなどの臨時出費も重なります。
家計は赤字が続き、カツカツに。日常の買い物をリボ払いでしのぐ日々。明らかに無理のある家計に、夫婦は毎晩のように喧嘩をするように。「無駄遣いしないでよ!」「俺の給料だ、これぐらいいいだろう!」と一色触発。家庭内の空気は最悪になっていきました。
「ローンの負担が重すぎて全然幸せじゃない。これじゃ駄目だ」
夫婦仲の限界、子どもへの影響……とうとう翔太さんはマンションの売却を決断。奈緒さんは、やっと手に入れたマイホームに未練が残り涙したものの、最終的には納得しました。
売却価格は当初の購入価格より少し上がりましたが、ローン残高がまだ100万ほど残る状況に。残債は一括返済ではなく、手元資金と売却代金でほぼ完済できる程度です。
賃貸に逆戻りも「身の丈にあった生活が幸せ」と夫婦
再び賃貸マンションに戻った夫婦。駅から少し遠くなり、設備は分譲に及びません。ですが、管理費や修繕費を気にせず引っ越しも柔軟にできます。
奈緒さんはこう語ります。「家にこだわりすぎていたけれど、手放して本当にストレスが減りました。『みんな買っているから』なんて楽観的すぎました」
翔太さんも振り返ります。「ローンに縛られるより、家族の生活や健康を優先すべきでした。何とかなると思っていたのは甘かった。でも、今はここで家族らしく暮らせることが一番です」
家は人生最大の買い物。収入や将来の見通しを慎重に考えずに勢いで購入すれば、生活の基盤を揺るがすことにもなり得ます。田村家の経験は、そんな現実を教えてくれます。
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