ウチ給料、低過ぎません?…「カリフォルニアでは最低賃金が日本の3倍だから」と退職希望。26歳・Z世代部下の「まさかの転職先」

ウチ給料、低過ぎません?…「カリフォルニアでは最低賃金が日本の3倍だから」と退職希望。26歳・Z世代部下の「まさかの転職先」
(※画像はイメージです/PIXTA)

「この会社を世界一にする!」 ――そんな熱い想いを胸に入社した会社は、大企業の下請けとして理不尽に買い叩かれ 、優秀な社員は次々と辞めていく“斜陽企業”でした。なぜ、主人公の情熱と努力は空回りしてしまうのか。米国人マーケター・マルクスは断言します。「原因はただ一つ、この会社がマーケティングをまったくわかっていないことだ」と 。本記事では、永井孝尚氏の著書『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、「セールス」と「マーケティング」の決定的な違いと、会社を復活させるための第一歩を学びます。

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3人の部下、それぞれの希望

最初の面談は一つ年下の菊名慎一。若手のホープだ。面談を始めると、いきなり菊名は軽い調子で切り出した。

 

「あ、自分、今月末で退職するんすよ」

 

(まずは菊名さんの希望を聞くところから始めよう)と思っていた日吉は、大きく目を見開いた。

 

「え? 退職!?」

 

「だってウチ給料、低過ぎません? 米国カリフォルニアでは最低賃金が20ドル。3000円超、日本の3倍っす。日本を脱出して、海外で寿司職人目指します」

 

「海外で寿司職人? なんで?」

 

日吉が驚いて尋ねると、菊名は屈託なく笑顔で答えた。

 

「日吉センパイ、知らないんすか? 寿司は海外で人気なのに人手不足なんですよ。寿司職人スクールで3カ月修業すれば即仕事できるし、2、3年修業して料理長になれば年収1000〜2000万円ですよ。残業ゼロで給料数倍。今より楽でお金も貯まるし、コスパもタイパもいいんですよ。最高じゃないっすか。よければセンパイにも寿司職人スクール紹介しますよ」

 

「そ、そうなのね……。海外への挑戦、頑張ってください」

 

二人目は58歳の経験豊富な目黒中(めぐろあたる)。会社規則で、58歳の社員には「60歳で定年退職後、当社で再雇用の場合、同じ仕事でも給料半減」と伝える必要がある。日吉が規則を伝えると目黒はその場で黙りこくった。翌朝、メールが届いた。

 

「『自分の娘よりも若い女性上司だけど心機一転、頑張ろう』と思った矢先のこの仕打ち。酷過ぎます。長年真面目に当社に勤めて、経験もスキルもあるし活躍できる自信もありますが、もう見切りを付けました。有休を使って別の仕事を探します。でも、こうして貴重な戦力を切り捨てちゃって、当社は大丈夫なんですかね?」

 

いきなり部下二人が退職し、日吉はガックリである。

 

(「この会社を世界一にしよう」と思って一生懸命やっているのに、なんでこうなるの? 次の面談は、小杉クンか……)

 

(これから日吉との面談か……)

 

小杉武蔵(こすぎむさし)は、憂鬱な気持ちで打合せ室にいた。同期入社の日吉は、大学も同期。日吉は基本「陰キャ」の自分とは正反対で、学生時代から超ポジティブで前向き。しかも行動は予測不能。そんな日吉に小杉は振り回され続けてきた。

 

小杉がUDサービスに内定が決まった時も、小杉が大学近くのカフェで本を読んでいたら、いきなり後ろから「ヤッホー!」と言いながら肩をど突かれ、小杉はコーヒーを吹き出した。振り返ると、笑顔で手を振る日吉がいた。

 

「驚いたわ。小杉クンもUDサービスに入社するのね。私もなの! 頑張ろうね!」

 

日吉が子どもの頃からUDサービスに入社を考えていたことは、後から知った。

 

(おいおい。日吉がここを希望しているって知ってたら、この会社には入らなかったよ……。でもボクは就活全敗でやっと最後にここに決まったんだから、仕方ないか)

 

しかし、日吉は入社後も「UDサービスを世界一の会社にして、日本を元気にする」と言い続けて頑張っている。

 

(頑張っている日吉の抜擢は当然だよな。同期の入社5年目で上司と部下……。差が付いたなぁ。昇進でテンション高いだろうし、面談でもハッパかけられるんだろうなぁ)

 

そんなことを考えていると、日吉が現れた。あれ? なぜかいつもの日吉とは様子が違う。席に座ると意外なことを言い出した。

 

「小杉クン、この会社辞めないよね……」

 

「は? 辞める?」

 

日吉曰いわく、菊名と目黒が退職するという。

 

「マジか。日吉も大変だなぁ。ボクは当面辞めるつもりはないよ」

 

小杉がそう伝えると、日吉は顔がぱっと明るくなった。

 

「ホント! よかった! 小杉クン、ありがとう!」

 

いきなり小杉の両手を握ってきた。その後は、いつもの日吉慶子に戻っていた。

 

「小杉クン、この仕事、絶対に化けるわ。だって新規事業開発よ。この仕事なら、UDサービスも私たちも絶対に成長すると思うの。一緒に頑張りましょう!」

 

結局、小杉の予想通り、最後にハッパをかけられて面談は終わった。こうして面談が終了。かろうじて小杉が一人残って、日吉はホッとした。

 

それにしても部下二人が辞めた理由に共通するのは、給料の低さだ。先進国だったはずの日本は、なぜこうなってしまったんだろう……。そもそも新規事業開発チームは二人だけだ。

 

(「化ける」とは言ったけど、何をすればいいのかさっぱりわからないわ。祐天寺社長はニコニコして「日吉さんが好きなようにやればいい」って言うけど、そんな簡単じゃないと思うんだけどなぁ……)

 

 

永井孝尚

マーケティング戦略コンサルタント
ウォンツアンドバリュー 株式会社 代表

 

 

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※本連載は永井孝尚氏の著書『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

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