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かつて夢見た会社は、長期低迷を続ける斜陽企業に
日吉の実家は東京の下町にある小さな商店で、幼い頃から両親の商売を間近に見て、自分も近所の御用聞きをして商売を手伝いながら育った。そんな頃に日吉が知った会社が、UDサービスだった。当時、UDサービスは中小企業の経営変革をITで実現し、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し続けていた。
日吉の両親が経営する商店にも、UDサービスの社員が訪れていた。背が高く、颯爽と仕事をこなすUDサービスの社員は実にカッコよかった。両親から経営の悩みを聞き、店の現場の様子も細かく観察して、IT活用で店の経営を魔法のように変えた。
日吉は幼心に「私も将来、この会社で働いて、お客さんを元気にしたい!」と思うようになった。その思いは大学生になっても変わることはなく、就活はUDサービス一本だった。
そして5年前、日吉はUDサービス本社オフィスの前に立ち、もうすぐ始まるUDサービスの入社式を前に、最高の気分だった。
「この会社を世界一の会社にして、日本を元気にする!」
しかし入社後、社内から見たUDサービスは、子どもの頃に輝いて見えたUDサービスとは一変していた。颯爽と仕事をこなす社員などほとんどおらず、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していた売上は、長期低迷を続けていた。
そんな中でも日吉は「この会社を世界一の会社にして、日本を元気にする!」という気持ちを失わず、現場の第一線セールスとして成果をあげ続けた。
27歳で異例の抜擢、新規事業開発リーダーを任されるも…
──商談の1週間前。
入社5年目となった日吉は、27歳の若さにもかかわらず新規事業開発リーダーに指名され、初めての部下も3人付いた。異例の抜擢である。しかもUDサービスの創業社長・祐天寺大介(ゆうてんじだいすけ)から直々のご指名。突然の話に驚いた日吉は祐天寺に尋ねた。
「なんで私がチームリーダーなんですか? しかも部下には大先輩もいますよ」
祐天寺は笑いながら答えた。
「それは、日吉さんがアニマルスピリットの持ち主だからだよ」
「アニマルスピリット? 私って、なんかの動物みたいな感じですか?」
「ああ、そう思っちゃった? 違う違う。日吉さんって、新しいことに次々と前向きに挑戦していて、しかも仕事を楽しんでいるよね。そういう気持ちのことを『アニマルスピリット』っていうんだ。UDサービスが成長するには新規事業が絶対に必要だ。だから最適任の日吉さんに、ぜひお願いしたいんだよ」
日吉は戸惑ったが、「この会社を世界一の会社にする第一歩」と腹を括くくった。そしてさっそく、部下3名と個別に話し合った。しかしその部下たちが、立て続けに退職を申し出てきたのである。
