(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の建設業界が、静かに屋台骨を揺るがされています。その元凶は、単なる職人不足ではありません。安価な輸入材に駆逐された「国産材」と、現場の“指揮者”たる「工事監督」。この2つの資源の枯渇です。本記事では、森山高至氏の著書『ファスト化する日本建築』(扶桑社)より、素材と人材の「ファスト化」という病巣に迫ります。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

工事監督に求められるスキルと仕事内容

建築素材の製造現場でも人材不足、工事現場の職人不足という大問題に加えて、本当に建設業界の屋台骨を揺るがし始めているのが、工事監督不足という問題である。

 

中小建設業者の場合には、社長自らが監督したり、小さな現場では監督はひとりであったり、ひとりで数軒の現場を掛け持ちすることもあるが、大手ゼネコンが受注するような大型建設現場の場合では、工事現場を監督する元請けの本社人材が、ちょうど映画製作における、監督、助監督のようにチームを組んで数名で工事現場を管理することになる。

 

この道30年といった工事現場の監督は、現代の棟梁ともいえる存在で、ちょうどオーケストラの指揮者のように現場で工事に携わる様々な業者、基礎工事であるとか鉄骨工事であるとかガラスや窓工事、配管工事、電気配線工事といった、ジャンルの異なる作業者を、工事の進捗に合わせ手配したり工事完成まで作業指示をしたりするのが仕事である。

 

出所:
[図表]現場監督の1日の業務事例 出所:『ファスト化する日本建築』(扶桑社)

 

着工から数年もかかるような工事であれば、進捗状況次第で費用の増減も甚だしく、建材の市場価格の変動や人件費なども考慮すれば想定利益を確保しながら、予定の完成時期に合わせるのは至難の業である。

 

その日々の業務内容を知れば、工事現場の監督の激務が分かると同時に、この職種に就こうと思わない若者が続出している事情も分かってくるのである。

 

まず、工事現場監督の仕事とは、知識レベルや技術レベルの異なる者同士のコミュニケーションや目的の共有を図る、情報の翻訳・翻案能力が必要とされている。一般的に、建設計画のスタートは事業構想である。ある土地が存在して、そこにある機能を持った建築物を構想する。目的は何か、現代社会において建築目的になり得るのは、公共サービスか社会資本の整備か商業利益か趣向の満足か、といったところである。

 

たとえば高層マンションであれば、土地を仕入れて建設工事費を負担して出来上がった多数の住戸を販売した結果、仕入れと建設原価以上の収益を得るということになる。公営の文化施設であれば、広く市民にアピールし利用が促進され、利用しやすくリピーターからの評価によって、企画した行政への満足度を増すといったところであろう。

 

そのような建築目的に則って構想された建築を現実化するため、工事会社には、まずは完成模型やイメージパースを含む設計図として、その情報が渡される。その膨大な設計図と各仕様を読み込み、各種工事下請けに設計図から得た情報を工事見積もり可能な情報として、噛み砕いて伝えなければならない。

 

 

建築エコノミスト/一級建築士

森山 高至

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、森山高至氏の著書『ファスト化する日本建築』(扶桑社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ファスト化する日本建築

ファスト化する日本建築

森山 高至

扶桑社

早い工法、安い建材、簡単な計画──  最近の建物、 なにかがおかしい!? ・「木」を貼りたがる公共施設 ・写真映えを優先する建築デザイン ・迫るタワマンの「大規模修繕」問題 ・理念のない大阪・関西万博……etc. …

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録