FRB議長“異例”の株価言及…「怒涛の株高」の変化にも注目
また、最高値更新で怒涛の展開が続く日米株価にも注目したいと思います。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は23日、「株価はかなり割高になっている」などと発言しました。
FRB議長が株価について言及するのは珍しいことですが、この事例で思い出されるのが、1996年12月に当時のグリーンスパン議長が発した「この株高は根拠なき熱狂なのか」という発言です。もっとも、このグリーンスパン発言のあとも米国株は上昇を続け、米国株が暴落に転じたのは2000年に入り、ITバブルが崩壊してから。つまり3年以上もあとのことでした。
ただし、「根拠なき熱狂か」という発言があった当時と現在では、いくつか顕著な違いがあります。そのひとつが、NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価です。
「根拠なき熱狂か」との発言があった当時、ダウに対するナスダック指数の割高感はそこまで極端なものではありませんでした。しかし現在では、ITバブル期を上回る水準にまで達しています(図表6参照)。
つまりこの指標は、グリーンスパン議長が「根拠なき熱狂か」と発言した1996年ではなく、むしろITバブルが崩壊し始めた2000年頃に近い状況にあることを示していますから、そうしたなかでFRB議長が株高に言及したことは、やはり注目すべきところです。
10月の米ドル/円予想レンジは「146~152円」
すでに見てきたように、米ドル/円は長く続いたレンジ相場を9月下旬に上放れたことから、元のレンジ以下に戻らない限り、当面は上値を試す展開が続く可能性が高いでしょう。ただし、一段の米ドル高・円安を正当化するほど日米金利差が拡大するかについては懐疑的です。
10月といえば、1987年の「暗黒の月曜日」や世界恐慌の幕引き役となった1929年の「暗黒の木曜日」など、歴史的な株価暴落が起きた時期としても知られています。そうしたなかで、パウエルFRB議長が“異例”の株価への言及を行ったこともあり、米国株高や景気回復の流れに変化が生じるかどうか、注目されます。
以上を踏まえ、10月の米ドル/円は「146円〜152円」と予想します。
今週の米ドル/円予想レンジは「147~152円」
今週は水曜日から10月に入り、ISM(米供給管理協会)による製造業・非製造業の景況感指数や9月の雇用統計など、注目度の高い米経済指標の発表が予定されています。これらは総じて、前回より改善するとの見方が一般的なようです。
一方で、米議会では予算審議が難航しており、政府機能の一部が停止する「シャットダウン」に陥る可能性も取り沙汰されています。その場合、雇用統計をはじめとする経済指標の発表が見送られる可能性もあるでしょう。
こうした不安定な状況のなかで、米国株高に変化が生じるかどうかには注意が必要です。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「147円〜152円」と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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