「誰かに頼るのが当たり前」という甘え
美和さんは思わず言葉を強めました。
「お母さん、私も余裕はないのよ。育ててくれた恩はあるけど、自分の家族を守らなきゃいけない。だから当然のように頼ろうとしないで」
母は驚いたように黙り込み、「だって、全部夫がやってくれてたから……」と小さくつぶやきました。
美和さんには「誰かに頼るのが当たり前」という母の感覚が理解できません。それでも完全に突き放すことはできません。
「昔から、父が先に亡くなったら母は大丈夫なのか? とは思っていました。でも、ここまで何もわかっていないなんて」
老後資金不足は「親子共倒れ」につながることも
親世代の準備不足は、子世代の生活に直結します。老後資金が足りなければ、子どもの教育や生活までもが脅かされることになるでしょう。
単身女性については、こんなデータもあります。厚生労働省の「老齢年金受給者実態調査(2022年)」によれば、単身女性で年金10万円未満の人の割合を「理由別」で見ると、「離別」では6割強、「未婚」では約4割、「死別」では4割弱でした。つまり、夫との離別で単身になった女性が低年金である割合は、非常に高いのです。
年金が少なければ、子どもを頼る場面も増えてしまいます。そうならないよう、できるかぎり老後資金をつくっておくことが大切です。もちろん、これは女性に限りません。
また、夫婦で貯金や家計を共有し、備えておくこと。不足するのであれば、働いて収入を得ることも必要でしょう。地域の高齢者向け就労制度やシルバー人材センターなども活用できます。
美和さんの母に関しては「仕事はとても無理」ということから、いざとなれば維持費のかかる戸建てを売り、賃貸に移ってもらうことを考えていると言います。母は「思い出が詰まっている家なのよ」と拗ねていますが、背に腹は代えられません。
「持ち家があったのが救いでした。もしなければと考えると……ゾッとしますね」
「いざとなれば、子どもに頼ればいい」という考えでは、老後は乗り切れません。1人になっても生活していけるかどうかを、きちんと考えておくことが必要です。
配偶者に任せきりにせず、遺族年金の現実を知り、貯蓄や働き方を早めに考えること。それが、自分の老後を守るだけでなく、子ども世代の未来を守ることにつながります。
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