学生時代、必要に迫られて借りた奨学金。返済は滞りなく進んでいましたが、人生の分岐点で思わぬ障壁に……。Aさんの事例と共に見ていきましょう。

「奨学金は借金じゃない」と考えていたが……

「僕がひとり親家庭出身ということもあり、彼女の両親は不安があったのでしょう。奨学金を借金とは思っていませんでしたが、よく考えたら当然の反応です」とAさんは振り返ります。

 

銀行口座から淡々と引き落とされる返済に慣れ切っていたAさんでしたが、確かに残りの返済360万円は大金です。これから子どもを持ったりマイホームを購入したりすることを考えると、40歳まで続く月2万円強の返済が、まったく影響がないとは言い切れません。

 

しかし、Aさん自身は倹約し、奨学金を返済しながらも貯蓄に励んでいました。そこで、あらためて自分と母の人生に必要なお金であったこと、返済を滞りなく進められるよう仕事に邁進することをBさんと両親に丁寧に伝え、無事に結婚は認められることになりました。

奨学金を借りる際の注意点「奨学金破産」も

奨学金は、経済的な理由で進学をあきらめないために学生が借りる制度です。最もメジャーなのはJASSOの奨学金で、給付型と貸与型の2種類があります。返済が必要な貸与型は比較的借りやすいですが、返済が滞り「奨学金破産」する人もいる現実があります。

 

Aさんのケースのように、奨学金の返済が結婚や将来の生活設計の思わぬ障壁になることも少なくありません。奨学金は、経済的に進学をあきらめないための有効な手段ですが、返済は必ず必要です。返済額が毎月の生活費や将来のローンに影響する可能性もあるため、返せる額を慎重に考えることが重要です。

 

また、収入が安定しない場合や返済が難しい場合には、減額返還制度や返済期間猶予制度を活用できます。放置すると信用情報に登録され、ローンやクレジットカード審査に影響することもあるため、困ったときには必ず相談しましょう。

 

正しく計画を立てれば、奨学金は人生の選択肢を広げる手段となります。借りるときには将来の返済も考慮することが、安心した将来への第一歩です。

 

 

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