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物事の判断に「統計データ」を使うのは重要だが、注意点も…
統計を見ずに物事を判断するのは危険です。昔と異なり、インターネットや人工知能などで統計が簡単に手に入る時代ですから、できるだけ統計を見て判断するようにしましょう。
しかし、気をつけないと、統計を見たことがかえって誤った判断の原因となってしまうかもしれません。
それから、「統計使い」にも注意が必要です。「統計使いは統計を使って嘘をつく」という言葉もあるようですから(笑)。
統計から将来を考えるのは、バックミラーを見て運転するのと同じ!?
統計は、過去に関する数字ですので、これを見ながら将来のことを考えるのは、バックミラーを見ながら運転するようなものです。見ないよりはるかにいいですが、注意が必要です。
バブルのとき、不動産や株が値上がりを続けていましたから、それを見て「もっと上がるだろう」と考えた人も大勢いました。そのなかには、借金して不動産を買おうとした人、それに金を貸した銀行も数多く含まれていました。もしかすると銀行は、「昨年の不動産担保融資は1件も焦げ付かなかった。不動産担保融資は安全だ」と考えてしまったのかもしれませんね。
結果は、皆が知っているように「上がり過ぎたから下がった」ので、借金が返せずに破産した買い手も大勢いましたし、銀行も巨額の不良債権を抱えることになったのです。
因果関係には十分注意
A氏とB氏が似ているとしても、A氏がB氏の親だとは限りません。子どもかもしれないし、兄弟かもしれないし、偶然似ている他人かもしれないからです。
同様に、似た動きをするものがあっても、どちらかが原因だとは限りません。たとえば「警察官が多い町は犯罪が多い」としても、警察官が多いから犯罪が多いというわけではないでしょう。むしろ「犯罪が多い町は積極的に警察官を雇い、犯罪が少ない町は同じ予算で公園を作る」ということだろうと思われます。
因果関係の話は重要なので、別の機会に詳述することにしましょう。
前年比は便利だが、落とし穴も
統計を見るときにしばしば使われるのが「前年比」です。2月のチョコレートの売り上げが好調だったか否かを判断するのに、1月と比較しても意味がありませんが、昨年2月と比較すれば、好調だったか否かが推測できるからです。
もっとも、前年比も注意深く取り扱う必要があります。たとえば昨年8月に五輪があってテレビの売れ行きが好調だったとすると、今年8月のテレビの売れ行きは前年比マイナスになっているかもしれません。それを見た社長が販売員に「サボっていただろう」と叱るとすれば、それは問題です。
そうしたことが起きないようにするためには、前年比よりも「季節調整値」というものを見ることが望ましいのですが、前年比と季節調整値の話は長くなるので、別の機会に詳述することとしましょう。
グラフにも要注意
次のグラフで、1番売り上げが伸びているのはどこでしょうか。じつは、A社は1から2で100%増、B社は10から19で90%増、C社は10から18で80%増なので、A社が1番伸びているのです。
とくに気をつけるべきなのは、C社のグラフが右目盛で、ゼロから始まっていない点です。このような体裁のグラフは、場合によっては便利なのですが、統計使いが統計を使って誤解させるための手法としてもよく使われるようなので、要注意です。
統計の作り方にも要注意
「米国軍人の死亡率は米国民の死亡率より低い」としても、「だから米軍は安全な所だ」とは言えません。米国軍人に定年があることを考えると、米軍が安全か否かを判断するためには「20歳から60歳までの健康な米国国民」の死亡率と比較する必要があるのです。
会社員の配偶者が無職だったとしましょう。ある日からパートで働くようになったら、家計の所得は増えますが、「わが家の勤労者一人当たりの所得」は減ります。それを見て「わが家は貧しくなった」と嘆くのは馬鹿げていますね。
しかし、日本の専業主婦がパートで働くようになったり、定年退職後の元サラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)がアルバイトをしたりすると、日本人労働者の平均所得が下がります。それを見て「日本人は貧しくなった」と嘆いている人は少なくないようですが、気をつけたいものです。
もうひとつ。ビジネスマンのアンケートで評判最高のホテルと評判最悪のホテルが同じだ、ということが起こり得ます。大きなホテルでは、「良かった」「悪かった」の解答が両方多いからです。ホテルを比較するには「良かった」「悪かった」の比率で見る必要があるのです。
読み取るべきメッセージは何かを考える
インフレ率がマイナス0.1%からプラス0.1%に上がったとき、「物価が上がった」と大騒ぎするよりも、「依然として、大体横ばいだ」と判断するほうがよいと思います。マスコミ的には注目を集めるために「デフレからインフレへ」などと騒ぐかもしれませんが、冷静に判断したいものです。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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