(※写真はイメージです/PIXTA)

2002年から20年間、毎月コツコツと世界中のインデックスファンドを積み立て続けた水瀬ケンイチ氏。2021年末には運用資産が1億円を突破し、いわゆる「億り人」に。複雑な分析や個別株の売買を避け、手間をかけずに資産形成を続けられた理由とは? 水瀬氏の書籍『彼はそれを「賢者の投資術」と言った』(Gakken)より、現代の個人投資家が学ぶべき「シンプルで着実な資産形成の方法」を紹介します。

20年間ひたすら積み立て、手間をかけずに億り人に

2021年の年末の足音が近づいてくるころには、私の運用資産は1億円の大台を突破した。2002年から20年間、毎月、世界中に分散したインデックスファンドなどを積み立て続けてきただけで、いわゆる「億り人」になったのだ。「継続は力なり」という言葉を身をもって実感した瞬間だった。

 

当時のポートフォリオの期待リターンは年率プラス4.4%、リスク(標準偏差)は13.6%。運用期間20年で、実際のリターンを計算したら年率プラス6.0%だった。平凡な実績だが、期待リターンよりは少しよい方にふれたようだ。よい方にふれたのは、そこにいたる数年の相場状況が良かったからだと思う。損益は計算期間によってころころ変わるので、2021年時点の損益自体にあまり意味はない。


それよりも、リスク水準を自分のリスク許容度の範囲内に納めることを重視して、同じ資産配分で毎月1回ひたすら積み立てることを継続してきただけで、手間をかけずに資産形成ができていたことがうれしい。継続の力と複利の効果がこんなにも大きな力を生むのかと驚くばかりだ。

 

振り返ると、20年前に『ウォール街のランダム・ウォーカー』で読んだ教科書どおりの愚直なインデックス投資を続けてきただけだ。予想どおり時間はかかったが、それでも期待どおりの結果が出たことがうれしかった。

 

資産規模が大きくなるにつれて、いくつかの変化を実感するようになった。まず、市場の1%の変動が数十万円、数百万円の評価額の変化をもたらすようになる。また、毎月の積み立て投資の影響力も相対的に小さくなってくる。


これらの変化に対して心構えや投資スタンスをどう調整していったか、またFIREの考え方についても、資産形成を振り返る後半部分で詳しく解説したい。ここでは一点だけ強調しておく。億という規模になっても、私のインデックス投資の基本方針は変わっていないということだ。

次ページついに現れた夢の商品、その名は…

※本連載は水瀬ケンイチ氏の書籍『彼はそれを「賢者の投資術」と言った』(Gakken)を一部抜粋・再編集したものです。

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