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ノンテクニカルスキルは業種を問わずに活用できるスキル
生成AI社会で活躍するITエンジニアには多様なスキルの習得が求められますが、実はIT分野におけるスキルには大きく分けて2種類あります。
1つ目は、現場のメンバーが業務を遂行するうえで必要な専門知識や技術です。これをテクニカルスキルといいます。ITエンジニアの場合は、プログラミング、UIデザイン、セキュリティ、運用などに関わるスキルがテクニカルスキルです。
テクニカルスキルは、日本語で業務遂行能力といいます。業績に直結する即効性が高いスキルであるため、学んですぐに現場で役に立ち、すぐに成果が得られます。例えば、IoT、AI、生成AIなどはこれからの社会の主要なテクノロジーであり、これらの分野に関連するテクニカルスキルを習得することで、ITエンジニアとしての仕事を獲得できます。
2つ目は、ITなどの業種や職種を問わずに活用できるスキルです。これをノンテクニカルスキルといいます。ITエンジニアの業務では、顧客とのコミュニケーション、情報の収集と分析、文書作成、リーダーシップ、マネジメントなどのスキルがノンテクニカルスキルです。業種や職種を超えて応用できることから、「ポータブルスキル」と呼ばれることもあります。
テクニカルスキルが専門的なスキルであり、限られた範囲の業種で重宝されるスキルであるのに対して、ノンテクニカルスキルは業種・職種にかかわらず広範囲に使うことができるのが特徴です。
テクニカルスキルとノンテクニカルスキルという分け方は、ハーバード大学の教授であるロバート・L・カッツ氏が提唱した理論に由来します。
カッツ教授は、組織のマネージャーに求められるスキルを3つに分けました。1つ目はテクニカルスキル、2つ目はヒューマンスキル(対人関係能力)、3つ目はコンセプチュアルスキル(概念化能力)です。このうち、ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルが業種を問わずに活用できるノンテクニカルスキルにあたります。
広義のスキルをテクニカルスキルとノンテクニカルスキルに分けるカッツ教授の理論は、以後、カッツモデルとして広く知れ渡ることになりました。
カッツモデルは、カッツ教授が1955年にまとめた論文「スキル・アプローチによる優秀な管理者への道(Skills of an effective administrator)」の中で提唱したものです。
当時のアメリカでは、企業のマネジメントがうまくいくかどうかはマネージャーの素質や性格で決まるものと解釈されていました。良いマネージャーとして活躍できるかどうかは、マネージャーとしての先天的な能力があるかどうかによって決まる、という考えです。
カッツモデルは、この考え方に一石を投じます。仕事ができるかどうかは先天的な要素のみならず、後天的に習得したスキルによって変わると提唱したのです。

