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マインドフルネスは自分を取り戻す方法

忙しい毎日のなかで、ふと立ち止まってみたことはありますか? スマートフォンの通知、締め切りに追われる仕事、複雑な人間関係……。気がつけば、あれこれと考えすぎて心が疲れていることが多い現代社会において、マインドフルネスは心の平穏を取り戻すための効果的なアプローチです。
マインドフルネスとは「いま、この瞬間」に意識を集中させることで、過去や未来にとらわれることなく、自分自身の心や体、さらには周囲の状況を素直に観察する方法として広く知られています。
例えば、朝一番のコーヒーを淹れるとき、その香りや温かさに意識を集中させる。お気に入りのハンドクリームを塗る際、そのテクスチャーや香りをじっくり味わう。通勤電車の中では、自分の呼吸にそっと意識を向ける。それらはどれもシンプルな行動ですが、マインドフルネスの第一歩です。
こうした日常生活の小さな瞬間の意識を変えるだけで、心がざわつくことが減り、集中力や記憶力、判断力が向上します。
私たちは日々の生活のなかで、自分が気づかないうちに膨大なエネルギーを費やしています。ふとした瞬間に感じるモヤモヤやイライラ、心の中の独り言、未来への不安や過去への後悔を感じてしまうことは、誰にでもあります。
こうした頭の中の雑念を手放し、いまだけに集中できる精神状態を意識的につくっていくのがマインドフルネスです。マインドフルネスは、1979年にジョン・カバット・ジン博士がマサチューセッツ大学医療センターで開発した「Mindfulness-based stress reduction(マインドフルネスストレス低減法)」をきっかけに、世界中で広まりました。マインドフルネスにより、副交感神経が優位になり、エネルギー消費を抑えることで効果が得られます。
博士の研究では、わずか8週間実践するだけで、脳の中で感情をつかさどる部位である扁桃体の反応が穏やかになり、判断や計画性をつかさどる部位である前頭前野の活性化が確認されました。これにより、ストレス軽減や集中力向上、感情コントロール力の向上が科学的に裏付けられたのです。
この画期的な研究成果に注目したアメリカでは、グーグルをはじめとするシリコンバレーの大企業が、社員のメンタルヘルスケアの一環としてマインドフルネスを積極的に採用するようになりました。社員がストレスの多い環境で働くなかでも最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援する方法として、今では企業の研修プログラムにも欠かせないものとなっています。
マインドフルネスと混同してしまいがちなものに、座禅があります。マインドフルネスは、ストレスを減らしたい、健康を促進したい、集中力を高めたい、といった明確な目標を持ち、その達成を目指す実践的な取り組みです。一方で、座禅は仏教の修行の一環として行われ、目的を設定して実践するものではありません。両者の背景や目的は大きく異なります。
マインドフルネスはセロトニンの分泌を促進し、心身の健康に良い影響を与えるのです。マインドフルネスの素晴らしさは、その実践が非常にシンプルで誰にでもできるという点にあります。特別な道具や高価な施設は不要で、少しの時間と静かな場所があればすぐに始めることができます。
最も重要なのは、自分に優しく、無理をせず、ありのままの「いま」を受け入れる姿勢をもつことです。私たちは完璧ではありませんし、完璧を目指すべきでもありません。常に変わっていく存在です。自分の状態に気づき、心を整える習慣を取り入れ、ありのままの自分を認め、いたわる気持ちをもつだけで、見える景色が少しずつ変わっていきます。その小さな変化が、やがて大きな平穏や幸せにつながるのです。
マインドフルネスは、ストレスを減らし、心を落ち着かせるだけでなく、自己成長を促します。忙しい日々のなかでも、静かなひとときをもつことによって、より深い充実感を得られるのです。
