夏期休暇明けで、一時米ドル/円149円台まで上昇!? 一方想定を下回る米8月雇用統計に米金利低下の可能性も…今週の予想レンジは〈145~149円〉【国際金融アナリストが解説】

9月9日~9月15日の「FX投資戦略」ポイント

夏期休暇明けで、一時米ドル/円149円台まで上昇!? 一方想定を下回る米8月雇用統計に米金利低下の可能性も…今週の予想レンジは〈145~149円〉【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、レーバーデイが終わり実質的な夏期休暇明けで取引が本格化し、一時149円台まで上昇しました。しかし金曜日の米8月雇用統計が予想を下回る結果になったことから、146円台まで急落する運びとなりました。雇用統計の影響は、さらなる米金利低下をもたらすのか、あるいは現状の米ドル安要因に鈍い状況が続くのか。本記事では、マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が、先週の米ドル相場を振り返りながら、今週の市場展開について解説します。

米金利低下など米ドル安要因に鈍い反応の理由とは?

これを受けて、金融政策を反映する日米2年債利回り差(米ドル優位・円劣位)は一段と縮小、これまでの関係を参考にすると米ドル/円は145円を割れるまで下落してもおかしくないと見られますが、その意味では金利差の割に米ドル/円の「下げ渋り」が目立っています(図表4参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円と日米2年債利回り差(2025年7月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

ではその原因はどのようなものでしょうか。

 

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジションは、主要な5通貨(円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドル)を対象にしたもので見ると足元では小幅な買い越し、ほとんどニュートラルとなっています(図表5参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション=主要5通貨対象(2000年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

つまり、これまで見てきた金利差から見た米ドル「下げ渋り」が、行き過ぎた投機的米ドル買いの結果ということではなく、その逆にすでに米ドルが「売られすぎ」となっていることから米ドル売り材料への反応が鈍くなっているといったことでもないそうです。

 

ただし、米ドルのポジションを、円とユーロの2通貨だけを対象にしたもので見ると、4月以降記録的な「売られすぎ」が続いています(図表6参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表6]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション=主要2通貨対象(2010年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

4月のトランプ大統領による相互関税発表をきっかけに「米国売り」が拡大、米ドルも急落する場面がありました。そういったなかで起こった円やユーロに対する米ドル「売られすぎ」の状況がその後も続いていることから、金利差縮小といった米ドル売り要因への反応が鈍くなっている可能性はあるのではないでしょうか。

今週の注目点:米CPI等の結果は大幅利下げや連続利下げに影響か

テクニカルには146円台サポート続くかに注目

今週は、PPI(生産者物価指数)、CPI(消費者物価指数)など米インフレ指標の発表が予定されています。すでに見てきた雇用統計の結果などにより、米CPI等の結果でも、9月FOMCでの利下げ再開との見通しが変わる可能性はほぼないでしょう。米CPI等の結果は、雇用統計の結果を受けて浮上した9月FOMC0.5%利下げや10月以降の連続利下げの可能性を左右する要因になるのではないでしょうか。

 

米ドル/円は雇用統計発表などを受けて急落する場面もあったものの、7月からサポートされている146円台を割り込むまでには至りませんでした。その背景としては、すでに見てきたように米金利低下などの米ドル安要因への反応が鈍い状況が続いているということが大きいのではないでしょうか。その意味では、米ドル安・円高がさらに広がるかは、ある意味では米利下げ見通し以上に、146円台のサポートを割れるかが重要になるかもしれません。

 

見え隠れする円安を容認しない日米の姿勢=今週の予想レンジは145~149円

一方米ドル安要因への反応が鈍いのは、米ドル「売られすぎ」の影響ということなら、その修正で米ドル高・円安に振れやすい面はあるでしょう。ただし日米間税交渉の合意による不確実性の低下などから日銀による早期利上げの可能性も着実に高まっていると考えられます。とくに円安圏で、植田日銀総裁とベッセント財務長官や石破総理の会談が話題に出てくるのは、一段の円安を容認しない観点から日銀利上げを検討しているようにも感じられます。その意味では、米ドル高・円安にもおのずと限度があるのではないでしょうか。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は145~149円で予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録