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国際市場で、金(ゴールド)は米ドル建てで取引されていることから、円で投資を行う日本の投資家は「為替リスク」を抱えることになります。上場投資信託(ETF)や投資信託には、こうした為替変動の影響を軽減(ヘッジ)したものとそうでないものが用意されています。為替リスクをヘッジするべきか、しないべきか――「金高・円安」、「金高・円高」、「金安・円安」、「金安・円高」の4つの事象に分け、それぞれの事象が起こりうる要因やヘッジの有用性を考えてみましょう。ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが解説します。

「金高・円安」のいま、ヘッジは「控える」がベター

金高・安、円高・安の4つの事象が起こりうる環境はどのようなものか見てみましょう。なお、円安は金の円建て評価額を押し上げることから+、円高は押し下げ要因となることから-と評価しています。

 

以下の類例については、市場の動きを厳密に示すものではなく、全体的な傾向を示すもので実際の動きを保証するものではない点をご理解ください。

 

出所:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。市場の動きを厳密に示すものではなく、全体的な傾向を示すもので実際の動きを保証するものではありません。
[図表2]金相場と円相場の組み合わせとマクロ要因例 出所:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。市場の動きを厳密に示すものではなく、全体的な傾向を示すもので実際の動きを保証するものではありません。

 

1.金高(+)/円安(+)

想定される要因:特に米国や世界全体への持続的なインフレの恐れが金価格を押し上げる可能性があります。一方、日本で緩和的な金融環境が続いた場合、米国の金融引き締めとの対比で日米金利差が拡大。低金利の円で資金を調達し、高金利通貨やリスク資産へ投資するキャリー取引の活発化が想定されます。

 

ヘッジの有用性:米ドル建て金価格の上昇に加え、米ドル高・円安によって金価格の円建て評価額が押し上げられます。ヘッジをすることで、円安による押し上げ効果を享受できなくなります。

 

2.金高(+)/円高(-)

想定される要因:世界的な景気不安から投資資金が安全資産(セーフヘイブン)へ向かうケース。この場合、安全資産とされる金や円が受け皿となります。為替市場においても、米国や世界の弱い経済見通しを背景に、米国の金融緩和が行われると米金利低下から日米金利差の縮小で円が買われやすくなります。

 

ヘッジの有用性:米ドル建て金価格の上昇は、米ドル安・円高で相殺される可能性があります。このためヘッジすることで円高による円建て評価額の押し下げ効果を和らげることができます。

 

3. 金安(-)/円安(+)

想定される要因:米国や世界景気の好調を背景としたリスクオン環境で、安全資産(セーフヘイブン)への需要が減少し、金や円への需要が低下。強い米経済や世界経済見通しから、米金融政策の引き締めによる米金利上昇や米ドル高により円キャリー取引が活発化するケース。

 

ヘッジの有用性:米ドル建ての金価格の下落は、米ドル高・円安で相殺される可能性があります。このためヘッジは円安によってもたらされる相殺効果を失う可能性があります。

 

4.金安(-)/円高(-)

想定される要因:世界的な景気回復に伴うリスクオン環境で安全資産(セーフヘイブン)需要への減少から金離れが起こる場合や、米国の実質金利が上昇し、金の魅力が低下し価格が下落する場合。

 

また、世界的にデフレ圧力が強まる場合もインフレヘッジとしての金需要が低下する可能性があります。日銀の金融政策正常化により、キャリー取引の巻き戻しから円が急激に上昇するケースも要因になり得ます。

 

ヘッジの有用性:米ドル建ての金価格の下落に加え、米ドル安・円高によって金の円建て評価額がさらに押し下げられることは、日本の投資家にとって、最も影響を与えるシナリオになります。為替ヘッジはこの下落圧力を緩和する手段として有効です。特にこのような局面では、ヘッジによって損失の一部を抑えることが可能です。


※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください。

 

 

ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント

 

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