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相対評価の世界がつくる競争マインド
日本人はもともと、集団の中の横の関係に関心を寄せる傾向があります。序列化は大きな関心事であり、周囲の中で自分は優れているのか、平均的なのか、あるいは劣っているのか、といった相対的な評価を気にしがちです。
誰にとっても自分の評価は悪いより良いほうが気分がいいですし、できるものなら上げたいと思うのは自然なことです。
学生であれば、相対評価が行われる学校の成績において、自分のポジションを上げる方法は2つあります。一つは自分の評価を上げること、もう一つは他人の評価が下がることです。
楽なのは後者です。自分で必死に勉強を頑張らなくてよいのですから、当然です。周囲がなんらかの理由で落ちていけば、自分は何もしなくても相対的に地位を上げることができます。そのため級友が学習時間や学習意欲を失うことは、自分が優位に立つためにプラスに働くという思考回路になります。
これは中学生や高校生の学力判定の世界だけでなく、私たちの社会全体に、他者が何かを失うことを自らの喜びとするようなマインドとして浸透していきました。
その考えは社会人になっても続きます。他人のパフォーマンスを下げることで、自分を押し上げ地位を築いていこうとするのです。
確かに、競争が閉じられた同一集団の中だけで行われ完結するのであれば、他人の評価を下げることは自分のランクを上に上げるのに有効な手段かもしれません。
しかし、世界は集団の外にも広がっています。集団内で足の引っ張り合いやだまし合いをして自身の相対評価を上げることに熱中しているうちに、集団そのものの能力は低下していきます。
いきすぎた競争マインドの影響は学力だけではありません。不登校やいじめなどが大きく増加しています。今、小中学校の不登校の生徒数は約30万人と過去最高です。また小中学校で認知されたいじめ件数は約68万2000件で、これも過去最高となっています(いずれも文部科学省公表の2022年度調査結果)。
このような環境で身につくものは、閉じられた集団内で相対的に上位に残るというテクニックにすぎません。人間的な成長・成熟とはなんの関係もないどころか、むしろモラルを低下させるものです。
井上 直之
三陽工業株式会社
代表取締役社長
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