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儲けるために起業した人はいない
私たちが働くのは自分のためであると同時に、自分ではない誰かのためでもあります。社会がうまく回っていくようにみんながさまざまな役割を果たし、お互いにその価値を認め合って生きています。
もともと商売というのは人の困り事を解決して、人の役に立ちたいと思うところから生まれました。1890(明治23)年にトヨタグループの創始者である豊田佐吉が豊田式木製人力織機を考え出したきっかけは、母親の手織りの仕事があまりに大変なので、なんとか助けたいと思ったからです。
ヤマハグループの歴史は、1887(明治20)年に創業者・山葉寅楠が静岡県浜松の尋常小学校で1台の壊れたオルガンの修理を依頼され、これを機にオルガンの構造を知り、国産オルガンの製作に成功しました。
1946(昭和21)年、焼け野原になった浜松で、のちにホンダグループを創業する本田宗一郎が陸軍で使っていた無線用の小型エンジンを改良して自転車に取り付けたのも、これがあれば人々の復興の役に立つと信じたからです。
時代が進むと、「儲かるから会社をやろう」という人が出てくるようになって、「これをやれば儲かるぞ」とか「これは儲からないからやらないよ」と発想の順番が逆転してしまい、今の社会へと発展してきましたが、豊田佐吉も、山葉寅楠も、本田宗一郎も、お金が儲かりそうだから新しい機械をつくったのではありません。
こうしたことはなにも日本企業の昔話ばかりではなく、現在の時価総額でトップランクにあるグローバルな世界企業でも同じです。彼らも金儲けで事業をスタートしてはいないのです。逆にいえば、金儲けが目的ではなかったからこそ、ここまでビジネスを成功させることができたと思える大企業は数多くあります。
例えばGoogleは、スタンフォード大学で出会ったまだ学生のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンが、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」ことを理念に掲げて、あらゆる情報に誰もが簡単にアクセスできるインターネットという世界をつくりました。
2人の青年の高い志が、パソコンやスマホというツールさえあれば、無料で世界中の情報に一瞬でアクセスできる、夢のような世界をつくりあげたのです。今は誰でも、どこからでも、衛星画像や地上から撮影した画像で世界の隅々までその様子を見ることができます。わずか30年前ですら、このような世界が現実のものになるとは誰一人思っていませんでした。
スターバックスは一杯のコーヒーを通じて、人々の心を豊かで活力あるものにすることを使命としています。そのために、自宅でも職場でもない、くつろぎにあふれた第3の場所の提供を目指して世界に店舗を広げています。スターバックスの店舗に入ればそのコミュニティーの一員として時間を過ごせるという価値があります。
もしコーヒーの売上を上げることが企業の至上命令であったなら、スタッフのあのフレンドリーな笑顔や挨拶、言葉かけといった企業文化は生まれていなかったはずです。
