(※写真はイメージです/PIXTA)

グローバル化の進展に伴い、富裕層による租税回避や巨大IT企業の課税問題は各国の喫緊の課題となっています。OECDを中心に国際的な枠組みが整備され、米国のFATCAやOECDの共通報告基準(CRS)といった制度を通じて、各国の税務当局が金融情報を自動的に交換する時代が到来しました。8月に『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』を刊行した矢内一好氏が解説します。

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国際的税務協力体制の確立

国際的な税務執行協力の一環として、2004年にオーストラリア、カナダ、英国、米国の4ヵ国が「国際共同タックスシェルター情報センター(Joint International Tax Shelter Information Centre:JITSIC)」をワシントンに開設しました。

 

2007年5月には日本も加盟し、ロンドンにも第2事務所が設立されています。その後、2009年以降は各国のタックスヘイブンやタックスシェルターに対する課税当局の動向が注目されており、2022年3月現在の参加国は43ヵ国に達しています。

米国のFATCA

米国では2010年3月18日、オバマ大統領の署名により「外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act:以下「FATCA」)」が成立しました。

 

FATCAは、外国金融機関に対して米国人等の口座情報を米国財務省に報告することを義務付けており、報告を怠った金融機関には米国内源泉所得の30%の源泉徴収を課す制度です。

 

この制度は世界的な金融情報交換に大きな影響を与えました。欧州5ヵ国(英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)はFATCAを欧州で推進し、2013年4月9日に多国間情報交換協定に合意、欧州委員会へ共同書簡を提出しました。さらに2014年5月のOECD閣僚理事会では、金融情報の自動的交換を宣言する決議が採択されました。

 

こうした流れを受け、OECDは金融口座情報自動交換制度(AEOI)を導入しました。2014年1月、OECD租税委員会は非居住者の金融口座情報を各国税務当局間で自動交換するための国際基準「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」を公表し、G20がこれを承認しました。

日米の金融情報開示・交換制度の比較

冒頭で触れた米国富裕層によるスイス銀行への「隠し預金」については、現行のFATCAによりスイスの銀行から米国人の口座情報が提供されるようになり、1950年代のIRS調査官のような苦労はもはや不要となりました。

 

ただし米国はAEOIには参加していません。一方、日本はAEOIに参加しているため、外国から日本人の金融口座情報が提供されています。

 

 

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

 

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