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富裕層への課税強化
国内外で共通する税制改正の重点項目は、租税回避対策を含む富裕層への課税強化です。
その第一歩として、2023年度税制改正により「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」(いわゆる超富裕層ミニマム税)が創設されました。これは、所得30億円超とされる超富裕層に対して最低22.5%の税負担を求める制度です。
この改正は、2021年9月の自民党総裁選に向けて岸田文雄氏(当時候補)が政策パンフレットで提示した「1億円の壁」の是正策に基づくものです。すなわち、金融所得(株式譲渡益や配当所得など)を中心に、富裕層ほど税負担率が低下する構造を改めることを狙ったものです。
二元的所得税の検討経緯
金融所得を含む資産所得課税については、約25年前の小泉政権期から議論されてきました。当時は富裕層対策というよりも、低迷する株価を引き上げるための「金融・証券税制」の検討が主眼でした。
その結果、金融所得課税一体化を目的とする「二元的所得税」導入の検討は成果を上げられませんでした。日本は金融所得に源泉徴収課税を適用しているため、形式的には二元的要素を有していますが、本格的な二元的所得税を導入しているのは北欧5ヵ国に限られています。
