富裕層課税はさらに強化される?日本に“欧州型財産税”が導入される可能性【国際税務の専門家が解説】

富裕層課税はさらに強化される?日本に“欧州型財産税”が導入される可能性【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本における税制改革の大きな焦点は、富裕層への課税強化と租税回避への対応にあります。2023年度税制改正で導入された「超富裕層ミニマム税」はその第一歩と位置づけられますが、格差是正や税制の公平性確保の観点から、さらなる方策として欧州型財産税の導入可能性が注目されています。8月に『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』を刊行した矢内一好氏が解説します。

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日本における財産税・富裕税の歴史

近年、財産税や富裕税に関する報道が散見されますが、日本でも過去にこれらの税制を導入した事例があります。

 

財産税:1946年、国家財政再建を目的として一度限りの課税が行われました。同年には新円切替と預金封鎖が実施され、財産把握が容易になったことが背景にあります。

 

富裕税:1950年にシャウプ勧告に基づいて施行されましたが、徴税コストに比して税収が乏しく、1952年に廃止されました。その後も政府税制調査会で「一般財産税」として繰り返し議論されましたが、制度化には至っていません。

欧州における財産税の現況

OECD加盟国では、オーストリア、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスが導入しており、ルクセンブルク、ノルウェー、スイスは法人にも適用しています。

 

アイルランドは1975年に導入しましたが3年後に廃止しました。フランスも1982年に導入しましたが1987年に廃止しています。

 

ドイツは1923年から州税として財産税を実施しており、法人・個人双方に課税しています。その理由として、法人・個人間の競争条件の均衡と税収確保を掲げています。

 

アジアではインド、スリランカ、パキスタンが採用しています。

日本への導入の可能性

日本で財産税を導入する目的としては、以下の点が挙げられます。

 

  • 国民間の富の偏在を是正すること
  • 消費税率引き上げに伴い、富裕層への課税強化を同時に行うことで国民的合意を得やすくすることが想定されます。

 

ただし、その実現には マイナンバー制度の普及と資産把握の徹底 が前提となり、執行面で課題が残ります。また、資産流出や国際競争力への影響を避けるため、国際的な協調を前提とした制度設計が求められます。

 

 

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

 

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