(※写真はイメージです/PIXTA)

2025年7月1日、米上院で可決された「トランプ減税法」。わずか1票差という薄氷の綱渡りで成立したこの法律は、2017年税制改革で導入された法人税・所得税の減税措置を延長し、遺産税の生涯控除額も大幅に引き上げるものです。第2期トランプ政権が短期間で法案成立にこぎつけた背景には、第1期の税制改正で築いた土台と、議会での激しい駆け引きがありました。7月に『富裕層が知っておきたい世界の税制【大洋州、アジア・中東、アメリカ編】』を刊行した矢内一好氏が解説します。

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2025年減税法成立までの綱渡り

下院での採決(5月)は賛成215票、反対214票、棄権1票という僅差で可決。7月の上院では賛成51票、反対50票で可決しましたが、共和党のスーザン・コリンズ議員(メーン州)、ランド・ポール議員(ケンタッキー州)、トム・ティリス議員(ノースカロライナ州)の3名が反対票を投じ、議員票は賛否同数となりました。このため、J.D.バンス副大統領が賛成票を投じ、最終的に可決に至りました。

 

なお、ランド・ポール議員は、日米租税条約の議定書改訂時にも唯一の反対票を投じ、発効を阻んだ経歴があります。彼は一貫して独自の主張を持つ議員として知られています。

減税法の効果

今回の減税法の主目的は、新たに税率を引き下げることではなく、2025年に適用期限が切れる2017年改正法の減税措置を延長することです。

 

遺産税については、減税法により大幅な軽減が行われます。減税法第110006条「増額した生涯控除額の延長」に基づき、法定の控除額は500万ドルから1,500万ドルへ引き上げられました。これにより、2025年末で期限切れとなる予定だった金額が、2026年以降も約3倍の水準で維持されることになります。

 

 

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

 

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