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米国の不動産税制の強化
米国は不動産を利用した租税回避を防ぐため、1980年に外国人不動産投資税法(Foreign Investment in Real Property Tax Act of 1980、以下「FIRPTA」)を制定。1984年には源泉徴収規定を導入しました。この時期はちょうど、日本から米国への不動産投資が活発化していた時期と重なります。
この法改正は日本の投資を狙い撃ちしたものではなく、当時の米国税制に不動産化体株式への課税規定がなかったことから、タックスヘイブン(オランダ領アンチル)を利用して米国不動産保有法人の株式譲渡による課税逃れを防ぐ目的で行われました。
FIRPTAの制定により、内国歳入法典第897条が新設され、米国非居住者が米国不動産に直接または間接的に保有する権利を譲渡して得た収益は、米国の事業と実質的に関連する所得として課税されることになりました。課税対象は、米国不動産そのものの譲渡だけでなく、一定要件を満たす米国法人(不動産化体法人)の株式譲渡による収益にも及びます。
さらに1984年の赤字削減法で、内国歳入法典第1445条が追加され、1985年以降の譲渡については、原則として譲渡対価(取引金額)の10%を源泉徴収することが義務付けられました。この税率は、譲渡益に課される税額の概算値として設定されたとされています。結果として、日本からの不動産投資による譲渡益にもこの10%源泉徴収が適用されることとなりました。
日本における外国からの不動産投資課税
日本でも2005年度税制改正で、不動産化体株式に関する規定が創設され、不動産譲渡益課税の抜け穴は塞がれました。
しかし課題として残るのは、外国人投資家による「売り逃げ」への対応です。
たとえば2021年5月に報じられた事例では、サモアの不動産会社B社の実質経営者であるタイ人が、2016年7月に北海道・ニセコの山林や原野を別のタイ企業に売却し、約8億円の利益を得ました。札幌国税局が調査したところ、この利益は無申告であり、申告を慫慂して税額の半分を納付した時点で連絡不能になったとのことです。
日本とタイは租税条約を結んでいますが、当時は国際的徴収共助の規定がなく、国税庁はタイ当局に調査を依頼しました。その結果、タイ国税当局の協力により約1.4億円を徴収することに成功しました。
今後、こうした国際的徴収共助が制度として定着すれば、外国からの不動産投資に伴う課税・徴収の実効性が高まり、「売り逃げ」問題の解決につながると期待されます。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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