今週は、6月の毎月勤労統計に注目
今週は、6月の毎月勤労統計に注目しています(図表1)。
6月の毎月勤労統計では実質賃金が前年比▲0.8%と5月(同▲2.6%)からマイナス幅が大きく縮小することが予想されます。実質化に用いる消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)が5月の前年比+4.0%から6月に同+3.8%へ鈍化したことに加え、名目賃金(5月:前年比:+1.4%→6月:同+3.0%)の伸び拡大が見込まれることも実質賃金押し上げに寄与するとみられます。
そこで、今回は名目賃金のうち、春闘の影響を確認する上で重要な一般労働者の所定内給与の動向に注目しています。5月の一般労働者の所定内給与(本系列)は、前年比+2.2%(4月:同+2.5%)と伸び悩む結果となりました(図表2)。
なお、この報道等で目にする本系列は毎年1月に行う 調査対象事業所の部分入替えの影響などによりかく乱されることが多いため、日銀やエコノミストなどの専門家は前年同月と当月ともに調査対象となっている「共通事業所」の前年同月比データを重視しています。
しかし、5月はこの共通事業所ベースでも前年比+2.4%と、4月の同+2.5%から伸びがやや鈍化しました。5月は春闘賃上げ率の反映により伸びが高まることが期待されていただけに(図表3)、やや物足りない結果となりました。
所定内給与の伸びが鈍い要因として、①春闘の結果が十分に反映されていないこと、②サンプル入れ替え、③中小企業の賃上げが鈍いことなどが考えられます。②は本系列ほどではないものの、共通事業所ベースでは途中で廃業した事業所を外しているため、かく乱要因となります。③については春闘の賃上げ率は労働組合を持つ企業を対象とした集計結果であり、組合を持たない中小企業は対象外となります。
賃上げが昨年に比べ抑制されていれば、毎月勤労統計における所定内給与の伸びは低めに出ることになります。いずれの要因が所定内給与の伸び悩みにつながっているかを確認するためにも、6月の所定内給与の結果に注目しています。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】8月第1週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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