(※写真はイメージです/PIXTA)

選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる議論が再び活発化しています。制度の是非にとどまらず、その先にある同性婚の合法化や税法上の配偶者概念の再定義など、影響は多方面に及びます。本稿では、制度改正の背景や法的・社会的な論点を整理するとともに、今後浮上する可能性のある税務上の課題について考察します。

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夫婦別姓問題が浮上している理由

選択的夫婦別姓制度とは、夫婦が希望する場合、結婚後もそれぞれ結婚前の姓(氏)を称することを認める制度です。立憲民主党は、この制度を導入するための民法改正案を、2025年4月30日に国会へ提出しました。法案では、夫婦が別姓を選択する場合、子どもの姓をどちらにするかを結婚時に定めるとされています。

 

しかし、2025年6月19日の国会会期末において、提出された法案は継続審議となりました。

 

2024年10月末、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して、選択的夫婦別姓制度の導入を求める4回目の勧告を行いました。自民党総裁選に立候補した小泉進次郎氏は、「国民的議論を進めて決着をつけ、一人ひとりの人生の選択肢を拡大する」と主張しています。また、同氏を支援した菅義偉前首相も、2022年8月のネットイベントにおいて「これ以上先送りせず、政治の責任で議論し方向性を作る時期だ」と述べています。これは、菅内閣時代に制度導入が実現しなかったことへの反省もにじむ発言といえるでしょう。

 

この問題の背景には、選択的夫婦別姓だけでなく、同性婚やLGBTQなどの性的マイノリティをめぐるジェンダー課題が存在しています。これらの制度改革に反対する、いわゆる保守層の存在が立法過程に影響を与えており、仮に法案が提出されても、野党は賛成し、与党内からは賛否が割れるといった構図が予想されます。

 

なお、2023年6月には「LGBT理解増進法」が成立しました。この法律は、「性的指向や性自認を理由とする不当な差別はあってはならない」という基本理念のもと、国や地方自治体、教育機関、企業などに対して、性の多様性に関する理解を深める施策の実施を求めています。

選択的夫婦別姓の法的側面

2021年6月23日、選択的夫婦別姓制度に関して、最高裁判所は2度目となる「合憲」判断を示しました。この判決では、制度のあり方については国会で論じ、判断すべき事柄であるとされています。

 

現行民法では、結婚する男女は必ずいずれかの姓を名乗ることになっており、いわゆる「夫婦同氏の原則」が採られています。民法第750条では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定されています。また、戸籍法第74条(婚姻)では、婚姻の届出にあたり、夫婦が称する氏を記載することが求められています。

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