(※写真はイメージです/PIXTA)

選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる議論が再び活発化しています。制度の是非にとどまらず、その先にある同性婚の合法化や税法上の配偶者概念の再定義など、影響は多方面に及びます。本稿では、制度改正の背景や法的・社会的な論点を整理するとともに、今後浮上する可能性のある税務上の課題について考察します。

同性婚を巡る問題

選択的夫婦別姓が制度化されると、次に焦点となるのは同性婚の法的認容です。

 

2021年3月17日、札幌地裁は同性婚を認めない現行制度について、「憲法第14条に違反する」として違憲判決を下しました。

 

一方、2022年6月20日には、大阪地裁が同性婚を認めない民法および戸籍法の規定について「憲法違反には当たらない」とする合憲判断を示すなど、司法判断は分かれています。

憲法24条の解釈

憲法第24条第1項は、以下のように定められています。

 

「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない」

 

この条文の解釈をめぐって、同性婚の憲法適合性が議論されています。2018年4月27日に衆議院議員・逢坂誠二氏が提出した質問主意書に対し、同年5月11日に安倍内閣が示した答弁書(衆質196第257号)では、以下のような政府見解が示されました。

 

「憲法第24条第1項は、婚姻は両性の合意に基づいて成立するものとしており、同性同士の婚姻(同性婚)の成立を想定していない。同性婚の可否は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、慎重な検討が必要である。不作為とはいえない」

 

この答弁書は、同性婚が直ちに憲法違反であると明示しているわけではなく、今後の立法措置の可能性を排除していないと解釈できます。

税法への影響

税法上の「配偶者」という概念は、私法(民法)上の婚姻関係に基づいており、戸籍上の婚姻関係がある者を対象としています。したがって、事実婚や同性婚(現在認められていない)の場合、税法上の配偶者とは認定されません。

 

今後、同性婚が法制度として認められる場合には、税法上の配偶者の定義や取扱いに変更が生じる可能性があります。具体的には、所得税法や相続税法における以下のような影響が想定されます。

 

  • 所得税法:配偶者控除や配偶者特別控除の適用対象が拡大する可能性
  • 相続税法:配偶者に対する税額軽減措置(法定相続分までの相続非課税な  ど)が同性配偶者にも適用されるようになる可能性

 

これらの変更は、社会保障制度や扶養控除、医療同意の扱いなど、他の法制度にも連動するため、慎重かつ包括的な制度設計が求められます。

 

 

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

 

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