倒れた妻に「70代元大学教授」が言い放った衝撃の一言…財産8,000万円が書かれた亡き妻の〈エンディングノート〉に涙したワケ【相続の専門家が解説】

倒れた妻に「70代元大学教授」が言い放った衝撃の一言…財産8,000万円が書かれた亡き妻の〈エンディングノート〉に涙したワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

子どものいない高齢夫婦に起きた突然の悲劇。義姉が自宅で急死し、夫である兄は認知症で何も対応できない状態でした。遺言もなく、残された財産の手続きや今後の生活はどうすればいいのか――。高齢夫婦の「2人暮らし」に潜むリスクと、必要な備えについて、相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が解説します。

2人暮らしだからこそ、備えておくべき

今回の一件で、子どもがいないご夫婦の2人暮らしでも、「リスクが高い」ということを感じます。配偶者のどちらかに何かあったとき、その後の生活を支える人がいない。本人たちが元気なうちに遺言書を作っておくべきだったし、万が一に備えて財産の所在や名義などを「見える化」しておく必要がありました。

 

辰徳さんの兄も義姉も、教養ある穏やかな夫婦でした。きっと老後もお互いに支え合って過ごしていけると信じていたはずです。


ですが、その支えが突然消えたとき、いかに準備不足が命取りになるかを、辰徳さんは目の当たりにしたといいます。

子どもがいないなら「第三者の支援」を前提に

今、多くの高齢者が「夫婦2人で老後を迎える」ことを前提に生活をしています。でも、その「2人」は、どちらかが倒れたら終わりです。特に子どものいない世帯では、親族の中に支援者がいなければ、その後の暮らしが一気に立ち行かなくなります。

 

「うちは関係ない」と思わずに、早い段階で信託契約や遺言の作成をしておくことが、今の時代、大人としての責任ある選択肢なのだと強く感じました。

 

辰徳さんの兄のように、認知機能がまだ一部保たれているうちなら、遺言も、任意後見契約も、信託契約も可能です。準備さえしておけば、本人の望む暮らしを実現してあげられるのです。

 

家族の数だけ相続の形があります。けれども「自分がいなくなったあと、大切な人に迷惑をかけたくない」という想いは、誰にとっても共通の願いではないでしょうか。

 

これからの時代は、「夫婦2人で完結する時代」ではなく、「第三者を含めた支え合いの仕組み」が必要です。

 

今回の相続で見えた教訓とリスク

【問題点1】夫婦2人暮らしの限界
どちらかが倒れたとき、助けを呼ぶ人がいないのが最大のリスクです。特に認知症を抱える場合、救急対応ができず、死亡後の発見すら遅れることになります。

 

【問題点2】財産の不透明さ
相続が発生しても、どこに何があるかわからない状況では、財産管理も分割も困難です。夫婦間の財産の区別も不明確であることが、手続きを一層複雑にしています。

 

【問題点3】意思能力が残っている間の準備不足
後見制度を避けたい場合、信託や遺言を早めに準備することがカギになります。
今回、意思能力が一部残っているからこそ信託に移行できましたが、タイミングを逃していたら法定後見に移行するしかなかった可能性があります。

 

まとめ「第三者支援」を前提にした老後設計を

子どもがいない夫婦にとって、老後・介護・相続のすべてが「自己完結できないリスク」を示す典型例です。


特に以下の3点は、今後の相続支援の現場で多発するであろうと予測されます。

・配偶者の急逝 → 認知症の本人が残される

・誰も財産の管理ができない(後見人か信託が必要)

・財産の全容が不明で、手続きも煩雑

 

今後の高齢化社会では、「夫婦2人で完結する暮らし」はもはや幻想です。


家族以外の支援者(相続実務士や信託専門家)といかに早期に連携するかがカギになります。

 

 

 

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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