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世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
矢内一好(著)+ゴールドオンライン(編集)
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エステートプランニングの必要性
海外に移住したり、海外の不動産等の資産を取得したりする場合、移住の要件となる在留資格や、取得する不動産に建築上の問題がないかといった事前の調査はよく行われているところです。しかしながら、出口戦略、すなわち、財産取得後、その財産の処分をしたり、移住先から帰国したりするとき、さらには相続が生じたときの問題の対策について検討されることはわずかといえます。
時系列的に出口戦略が後回しになるのは致し方ありません。ただ、出口戦略上、特に相続時に生じる問題が深刻である場合においては、本当にその資産を取得するべきなのかという入口の問題から考えるべき問題である場合もありますし、少なくとも生前中になんらかのエステートプランニングをとるべき必要があります。
海外の法律・税務問題は、現地の専門家の意見を求めることがもっとも確実といえます。ただ、たとえば日本居住の日本人が海外の資産を取得する場合、専門家と話す機会は財産を取得するときしかありません。したがって、いわゆる財産を処分したり帰国したり相続が発生したりする際の出口戦略上の留意点については、財産取得時に関与する専門家に概要を確認しておくことが望ましいと考えられます。
以下、海外に財産を取得するときのポイントとなります。
1. プロベートの要否
日本では、相続が発生すると、相続人が被相続人の債権債務を自動的に相続する包括承継主義を採用しています(民法896条)。しかしながら、英米法系諸国(米国、英国、カナダ、シンガポール、香港、オーストラリア、ニュージーランド)では、管理清算主義が採用されており、相続財産はいったんすべて遺産財団に属し、裁判所の監督下で管理清算され、管理清算後、積極財産が残ったときに初めて分配されることとなります。
このプロベートは、裁判所の手続となることから、時間もコストもかかります。そこで、英米法系諸国においては、プロベートを回避するための制度が多く作られています。
国際案件となると時間もコストも国内案件よりかかるのはどこの国でも同じで、財産がプロベート対象となる場合は、現地の専門家にプロべートを回避する形態で当該財産を保有することの可否を検討することも重要といえます。
2. 帰国時の財産維持の可否
アンチマネーローンダリングの観点から、金融口座や証券口座等、現地に住所がないと対応しない方針とする金融機関は海外にも増えています。したがって、移住時に日本国外の現地の金融口座を保有しても、帰国時に現地に住所を維持しているとみなされる状況にない場合、金融機関口座を維持できない場合があります。
有価証券等を日本の証券口座に移管できれば問題はありませんが、外国証券会社保管の有価証券を受け入れてくれる日本の証券会社も限りがあり、受入先がない場合は、不本意なタイミングにもかかわらず現金化しなければならないリスクもあります。
そこで帰国の予定がある場合等は、あらかじめ金融機関に帰国後も財産を維持できるかといった事項を確認しておくことが必要です。
酒井 ひとみ
シティユーワ法律事務所
2028年から株式・投資信託並みの「20%分離課税」へ。
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