石破首相の「なめられてたまるか」発言…株式市場はどう動く?
筆者はこれまで石破首相を「何もしていない」と批判してきた。前回記事(7月10日配信『外国人投資家は「参政党」をみている…今夏の参院選は「相場」が崩れる始まりの日、日本株に何が起きるか【ストラテジストが解説】』)では、参院選で与党が負けても日本株が上がるのではないかと書いた。その理由は、石破政権は何もやってこなかった(に等しい)政権なので、そんな政権なら退陣してくれたほうがいい、よって株価は上がるのではないか、と述べたのだ。
そんな石破首相から、あんな発言があるとは思いもしなかった。
「これは国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか」。9日、JR船橋駅前の街頭演説で、石破首相はそう述べて「私たちは言うべきことは、たとえ同盟国であっても、正々堂々、言わなければならない」と強い口調で訴えたのだ。「なめられてたまるか」とは恐れ入った。やっとやる気を出してくれたのなら、(遅きに失した感はあるが)応援したい。
無論、批判もあるだろう。国民民主党の玉木代表は10日、石破首相の「なめられてたまるか」発言を批判。「選挙対策として、相手のいないところで厳しい言葉を発するのは交渉を円滑に進めるうえでマイナスだ。国益に反する」と記者団に語った。
ごもっともである。
株式市場も懸念を表明しているのではないか。7月10日の日経平均は下落した。エヌビディアが世界で初めて時価総額を4兆ドルに乗せたニュースも日本株の上昇にはつながらなかった。これといった理由もないのに、日本株は下落した。もしかしたら、石破首相の発言がかえって日米関係の悪化につながりかねないと株式市場が警戒したのかもしれない。
ありえる話ではないか。
しかし、である。野党が何を言おうが、株価が多少調整されようが、そんなことはどうでもいい。仮にも一国の元首が「なめられてたまるか」とあれだけの啖呵を切ったのだ。ここは信じて託してみよう。まさか、何も考えず、これからどのように米国と交渉するか、その策もアイデアもなく、勢いだけでいったわけではないだろう。繰り返すが、一国の元首の言葉である。
