\1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
ハワイの宿泊税引き上げの背景にあるのは環境問題?
観光天国に突きつけられた「持続可能性」という課題
世界有数のリゾート地として愛され続けるハワイ。その豊かな自然と温暖な気候は多くの人々を惹きつける一方で、近年では「オーバーツーリズム」や気候変動による自然災害といった深刻な課題にも直面しています。
こうした状況を受けて、先日ハワイ州議会は、環境対策の財源確保を目的とした、新たな観光関連課税制度の導入に踏み切る方針を明らかにしました。これにより、観光客を対象とした宿泊税が引き上げられ、通称「Green Fee(グリーンフィー)」と呼ばれる新たな環境保護目的の使用料が、宿泊税に上乗せして課されることになります。
具体的には、ハワイを訪れる観光客に対し、これまで10.25%だった宿泊税を11%に引き上げ、その差分である0.75%分の税収を、環境保全目的のプロジェクトに充てるという制度です。
徴収された追加税収は、サンゴ礁の保護やビーチの浸食対策、森林の再生、外来種の駆除など、ハワイが直面している自然環境の危機に対応するためのプロジェクトに活用される予定です。これにより、美しい自然を守りながら観光業を持続可能な形で維持していくことを目指しています。
この新制度は、2026年1月1日より施行される予定で、ホテル宿泊客だけでなく、ハワイに寄港するクルーズ船の乗客も対象となります。クルーズの場合、滞在日数に応じて課税される仕組みが検討されており、観光スタイルを問わず、訪問者全体に環境保護の負担を広く分担してもらう狙いがあります。ハワイ州の試算によれば、この新たな制度により、年間およそ1億ドル(日本円にして約140億円超)の税収が見込まれています。
実はこの「Green Fee制度」は、2023年にも「SB304法案」として審議にかけられていました。目的は現在と同様、ハワイの環境保護のために観光客から追加の税を徴収するというものでしたが、当時は一律一人50ドル(日本円にして約7,000円超)の徴収を想定しており、金額の妥当性をめぐって賛否両論が起きました。
また、その時期はコロナ禍直後で、観光業や環境関連産業の立て直しに苦労していた背景もあり、最終的にこの法案は見送りとなりました。
しかし2025年に入り、再び観光客が絶え間なく押し寄せるハワイでは、物価上昇が現地住民の生活を圧迫し、オーバーツーリズムが環境破壊につながる懸念も強まっています。こうした状況を踏まえ、地元住民にこれ以上の経済的負担を強いることなく、現状を改善する手段として、再び観光客から追加で税金を徴収するという判断に至ったのではないでしょうか。
宿泊費はこれ以上高くなっても許されるのか
今回の法案に対しても、もちろん反対の声は挙がっています。というのも、ハワイではすでに宿泊料金に対して、General Excise Tax(ハワイ州の消費税)4.712%、Oahu TAT(オアフ島の宿泊税)3.00%、そして今回税率が変更されるTransient Accommodations Tax(ハワイ州の宿泊税)10.25%の、合計約18%もの税金が課されています。
さらに多くの宿泊施設では、税金とは別に「リゾートフィー」という名目で、1泊あたり20〜50ドル前後の施設利用料が発生します。予約サイトで一見安く見えたホテル代が、最終的な支払い画面で大幅に高くなっていた……という経験がある方も多いのではないでしょうか。確かに、ここまでくると気軽に支払える税額ではなくなってきていると言えるかもしれません。
ここまで料金を引き上げてでも、環境保護のための費用を確保せざるを得ないハワイで、一体何が起きているのでしょうか。
