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「やり方が悪い」の自己責任論で、日本の食は守れるのか
一方で、日本全体で見たときに不遇な農家が少なくないことは、国の政策が失敗している部分もあるのではないかと感じます。世界に目をやると、独自の助成制度で農家の生活が成り立つようにして、農業を保護している国もあります。農業所得に対して公的助成(※)が占める割合は、ヨーロッパで90パーセント以上。スイスに至っては100パーセントだそうです。
農作物の売上が小さくても、きちんと生活ができる国がある一方で、日本の農家所得に対する補助金の割合は30パーセント程度にとどまっています(過保護の問題点もありますが……)。
なかには、儲かっている農家さんもいるので、そうでない農家さんの「経営が苦しい」という言葉に対し、「やり方が悪いからだ」という意見はどうしても出てきます。そうかもしれませんが、日本の食を支えている人たちがピンチでは、国の経済は回らず、今以上の発展もないと思っています。
農家が儲かるには、
1.生産物の絶対数を増やすこと
2.利益率を上げること
の2点が重要だと考えています。〈1〉を実現するには「規模拡大」「収穫量を上げるための生産技術向上」を極める必要があります。それができれば、農協や業者に出荷することでも十分に生活ができるようです。
そして、〈2〉を実現するには「付加価値をつけて、適正価格(利益が残る価格)で販売すること」「おいしい農作物をつくるための生産技術向上」が不可欠。これらを極めた農家さんは、新しい販路を開拓することで収入を上げられます。
「農業で儲ける方法はこれだ!」と一概には言えず、いずれにしても時間がかかります。土地を拡大するにしても、例えばお米なら、東京ドーム約2個分の面積をひとりで引き受けなければ採算が合わないという話もあります。農家の平均年齢を考えれば、規模を拡大して作業を効率化するのは大変です。また、販売面で付加価値をつけるにしても、生産で手いっぱいの農家さんが多いなかで販売方法にまでこだわるのは簡単ではないと思います。
事実、日本の農家の約4分の3が、ほかに収入源を持つ兼業農家です。僕も、農業を始める前は「うまくやれば儲かるだろう」と簡単に考えていたところがありましたが、実際に農業に従事するようになってみて、その難しさを痛感しています。
