残されたのはお金か、それとも不信感か
結局、追徴課税は遺産から支払われましたが、一度生まれてしまった家族への不信感は、簡単には消えませんでした。父がよかれと思って秘密にしてきた1,000万円は、資産ではなく、家族の絆を静かに壊す“毒”となってしまったのです。
では、この悲劇を避けるために、本当に必要だったのはどんなことだったのでしょうか。
問題の本質は、「タンス預金」という行為そのものではありません(むしろ、災害時や相続の際には口座凍結という事態もありえるため、緊急時に備えた蓄えとして10万円~30万円ほどの金額を手元に置いておくことを推奨します)。それが「家族に秘密にされていた」こと、そして「故人の意思が不明瞭だった」ことにあるでしょう。
もし生前に、山本氏が家族に資産の状況を話し合い、遺言書などで「このお金はこう使ってほしい」という意思を明確に示していれば、遺された家族が疑心暗鬼に陥ることはなかったかもしれません。
お金の話は、タブー視されがちです。しかし、家族が元気なうちにこそ資産について話し合い、意思を共有しておくこと。それが、遺された家族を未来の争いから守る、なによりの“相続対策”といえるでしょう。
木戸 真智子
税理士事務所エールパートナー
税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
配偶者の預金は?子ども名義の生命保険は?
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