インド工科系学生、9割超が「日本で働きたい」
Zenkenが2025年2月に実施した海外で就職することを希望するインドの工科系大学の学生に対するアンケート調査によると、「日本で働きたい」との回答が9割超を占めた。
日本で働く場所については「地方」または「都市・地方にこだわらない」を合わせて6割弱に達した(図表1)。日本では東京都周辺への人口流入が進み、東京圏の4都県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)への一極集中は世界でもトップクラスといわれる。インド人材が地方企業などに就職した場合、地方創生や人材不足の改善などが期待される。
「都心部で働きたい」は44%
調査はZenkenがインド・ベンガルールなどの15の工科系大学の学生(3~4年生)を対象に2月4~10日に実施し、1671件の回答を得た。アンケートで「日本で働きたいか」と聞いたところ、「はい」と答えた人は93.9%に達し、前回調査(24年3月)を2.1ポイント上回った。
日本で働く場所については「都市部」と答えた人が44.4%と半数近くを占めた。インドの工科系大学の学生にとっても人の集まる都心部の人気は高い。「地方」との回答は7.8%にとどまった。一方で「都市・地方にこだわらない」と答えた人は47.8%となり、「地方」との回答を合わせると55.6%に達した。都市部に人気はあるものの、必ずしも都心にこだわらないインドの学生の姿が浮き彫りになった。
地方を選んだ理由は「自然」「物価の安さ」
「都市部」を選んだ学生に対して理由を尋ねたところ、「最新の技術を学べるから」が91.1%でトップだった(複数回答)。「スキルアップ」との回答も76.5%に達した。勤勉なインドのIT人材にとって日本企業の持つ高い技術は最大の魅力となっており、大手優良企業のひしめく都心部で働きたい学生は多い。2番目に回答が多かったのは「会社の数が多く就職先が多いから」で、84.6%に達した。「都市部で生活したいから」は44.2%、「給与水準が高そうだから」は42.8%にとどまり、インドの工科系大学の学生が生活の利便性や給与などより技術取得を重視していることがわかった(図表2)。
「地方」を選んだ学生に対して理由を聞いたところ、最も多かったのは「自然が豊かだから」で88.6%に達した(複数回答)。次に多かったのは「物価が安いから」で72.4%だった。都心部以外で育ったインドの学生が暮らしやすい郊外や地方を望んでいるケースも少なくない。「地方にも技術力のある日本企業があるから」との答えも56.1%と過半数に達した。「働く地域にこだわりがないから」、「就職しやすそうだから」はともに13.8%にとどまった(図表3)。



