公的医療保険に対する制限も強化へ
低所得者向けの公的医療保険「Medicaid」については、受給条件が厳しくなります。新たに労働要件が導入され、その適用開始が2029年から2026年へ前倒しされます。さらに、Medicaidを利用した性転換手術は禁止される見通しです。社会保障のあり方を大きく変える内容となっています。
名門大学と大財団への“露骨な”増税
大学への寄附金から得られる運用益に対する課税率が、現行の1.4%から21%へと大幅に引き上げられます。これはハーバード大学などアイビーリーグ校を明確に狙った措置と見られています。
さらに、Private Foundation(日本でいう公益財団法人)に対しても新たな資産課税が導入されます。2,000万ドル以上の資産には2.78%、2億5,000万ドル以上には5%、50億ドル超には10%の課税が課される見込みで、ビル・ゲイツ財団が標的であるという指摘もあります。
クリーンエネルギー関連の優遇は終了へ
環境関連の優遇措置も見直されます。電気自動車に対する最大7,500ドル(約110万円)の税額控除は2026年末で終了、太陽光発電などクリーンエネルギー分野への税額控除も2029年末で打ち切られる予定です。
これらの措置については、日本の「租税特別措置法」のような延長措置は講じられないとされています。
海外送金税の導入で移民層に影響
新たに「海外送金税」が導入され、アメリカ国籍を持たない人が自国の家族へ送金する場合、送金額に対して3.5%の課税が行われます。メキシコやインド、中国、フィリピンなど、出稼ぎ労働者の多い国の人々にとっては大きな負担になるとみられています。
高齢者と製造業への手厚い支援
65歳以上の納税者には、標準控除額に4,000ドル(約60万円)が上乗せされる措置が導入されます(所得制限あり、2028年までの時限措置)。また、アメリカ国内に工場を新設する製造業者に対しては、その建設費を100%即時償却できる新制度も盛り込まれています。
