なぜ今「フィリピン株」が熱いのか? 口座数「過去最高」の裏にある政府の「一手」と本当の課題

6月16日週「最新・フィリピン」ニュース

なぜ今「フィリピン株」が熱いのか? 口座数「過去最高」の裏にある政府の「一手」と本当の課題
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はフィリピン人の投資熱の高まりと、トランプ関税がフィリピンの貿易収支がどのような影響を受けているのかをみていきます。

フィリピン・個人投資家の急増と今後の展望

フィリピン証券取引所(PSE)では、2024年に株取引口座数が記録的な増加を記録しました。PSEのCEOラモン・S・モンゾン氏は、株式取引税の0.6%から0.1%への引き下げ、多様な投資家教育プログラム、そして今後の新たな金融商品が、2025年の残り期間における投資家活動をさらに促進するだろうと楽観的な見通しを示しました。

 

モンゾン氏はまた、個人投資家の口座数は急増したものの、総取引額に占めるその割合は16%に過ぎず、市場へのより積極的な参加を促すことが真の課題であると指摘しました。この株式取引税の引き下げは、最近署名された共和国法第12214号、通称「資本市場効率化促進法」の規定によるものです。

 

先週発表されたPSEの報告書によると、2024年の株式市場口座数は286万件に達し、2023年の191万件から50.1%増加しました。特にオンライン口座は62%増の247万件に達しています。この50%という口座数の増加率は、PSEが2008年に投資家の数とプロファイルの追跡を開始して以来、最も高い伸び率です。この大幅な成長は、デジタルプラットフォームがPSEの取引エンジンに接続可能となり、投資家がより手軽に市場取引を行えるようになったことが主な要因と考えられます。

 

さらに、PSEは個人投資家を支援するため、投資家教育の取り組み(イニシアティブ)を強化しています。報告書によれば、総口座保有者の98.9%が個人投資家であり、残りの1.1%が機関投資家です。PSEは、口座数もさることながら、個人投資家が投資の落とし穴を避けるための知識(ノウハウ)を身につけることがより重要だと強調しています。そのために、取引参加者や政府機関、民間団体と積極的に協力し、個人金融と株式市場投資に関する情報普及に努めています。

 

この口座数の増加は、PSEが開発したテクノロジープラットフォームによっても後押しされています。個人投資家をサポートするデジタルチャネルとして「PSE EASy」や「PSE EQUIP」があり、「PSE EASy」のモバイルアプリ最新版では、小口投資家がIPO(新規株式公開)などにアプリから直接申し込みや支払いができるようになりました。「PSE EQUIP」は、リアルタイムの市場データにアクセスできるプレミアムなサブスクリプションサービスを提供しています。

 

オンライン取引の平均取引額は7.9%増の50,746.82ペソ、非オンライン取引の平均取引額は4.5%増の99,823.86ペソとなりました。先月、PSEはナスダックとの提携を発表し、取引プラットフォームをナスダックのエクリプスプラットフォームへアップグレードする計画です。このプラットフォームは、取引前のリスク管理、高度なオプション価格設定、インデックス計算といった機能が特徴です。

 

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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