IMFが警告「フィリピン経済」成長鈍化の真因…金利を下げても「好況」が遠い理由

12月22日週「最新・フィリピン」ニュース

IMFが警告「フィリピン経済」成長鈍化の真因…金利を下げても「好況」が遠い理由
写真:PIXTA

国際通貨基金(IMF)によるGDP成長率の下方修正と、ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)による金融政策の分析レポートから、フィリピンが抱える「成長の壁」と「金利の謎」が浮き彫りになりました。高い潜在能力を持ちながらも、なぜ政府目標に届かないのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が解説します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】

八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

目標未達が濃厚も、フィリピン経済が「失速」しない理由

国際通貨基金(IMF)は最新レポートにおいて、フィリピンの2025年および2026年の国内総生産(GDP)成長率予測を下方修正しました。具体的には2025年を従来の5.4%から5.1%へ、2026年を5.7%から5.6%へ引き下げています。この修正は、パンデミック期を除けば約14年ぶりの低水準となる4.0%に沈んだ、2025年第3四半期の結果を反映したものです。成長鈍化の主因は、洪水対策プロジェクトを巡る汚職疑惑や政治的混乱が、政府支出および投資家マインドを冷え込ませた点にあります。

 

外部環境では、世界的な貿易政策の不透明感や地政学的な緊張が輸出や投資の下押し圧力となっています。IMFは特に関税障壁の強化による悪影響を警告するほか、頻発する気候変動リスクも懸念材料に挙げました。これらにより、政府が掲げる6%〜7%の成長目標達成は、4年連続で見送られる公算が高まっています。

 

一方で、この修正はフィリピン経済の「失速」を意味するものではありません。インフレ率は政府目標の範囲内(2%〜4%)で推移すると予測され、物価安定は中央銀行による利下げ余地を生み、民間消費を下支えするでしょう。中期的な潜在成長率は依然6%前後と評価されており、経済の基礎体力は東南アジア屈指です。


今後の鍵は構造改革の実行力です。IMFは、ガバナンス強化や法の支配の徹底こそが投資家の信頼回復に不可欠と強調しています。足元の成長率は目標未達ながら、内需の底堅さを背景に、フィリピン経済は次なる飛躍への「調整局面」にあると言えます。投資家としては、短期的な指標変動に一喜一憂せず、潜在成長率の発揮に向けた構造改革の進展を、冷静に見守る必要があります。

 

次ページタイを一歩リード、鮮明になるアジア域内の立ち位置

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録