自宅売却の譲渡税申告。税務署からの呼び出し
青山さん(50代・男性)から、ある相談が寄せられました。青山さんのご家族は、二世帯住宅で高齢のお父さまと同居されており、最近、その自宅を売却されたとのことです。売却にあたっては、お父さまに代わって青山さんが実務のすべてを担当されました。
お父さまは、自宅とは別に貸店舗を所有しており、20年以上にわたり賃貸収入について確定申告をしてきました。毎年の申告は、長年お願いしている税理士の先生に一任しており、今回の自宅売却に関わる譲渡所得の申告も同様に依頼されたそうです。
申告と納税が無事に終わり、ほっとひと息ついた矢先、税理士から一本の連絡が入りました。「申告内容について税務署から確認が入ったので、一緒に出向いてほしい」とのこと。青山さんは税理士とともに税務署に出向くことになりました。
税務署からの確認事項 「居住用財産の3,000万円特別控除の特例」
税務署の確認事項は2点だといいます。
(2)固定資産税の残期間分の精算について
(1)については売却する直前まで住んでいたことの証明が必要。
青山さんのご自宅は、600坪という広い敷地に二世帯住宅が2棟建っており、どちらの棟にも人が住んでいる状態でした。ただ、税務署としては「本当に売却直前まで居住していたのか」を確認する必要があったようです。
公共料金の支払い状況などをもとに確認が行われましたが、最終的には問題なくクリアできたとのことです。
※「居住用財産の3,000万円特別控除の特例」は、マイホーム(居住用財産)を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。これにより、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できます。
適用要件
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居住用財産の譲渡:
- 現在居住している家屋
- 以前に居住していた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却)
- 上記家屋とともに売却する敷地や借地権
- 家屋を取り壊した場合、その敷地で一定の要件を満たすもの
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譲渡先の制限:
- 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売却していないこと
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他の特例との併用制限:
- 売却年の前年および前々年に以下の特例を受けていないこと
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- マイホームの買換えや交換の特例
- 譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
- 売却年の前年および前々年に以下の特例を受けていないこと
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その他の要件:
- 売却した家屋が、特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋でないこと
- 別荘など、主に趣味や保養のために所有する家屋でないこと
手続きと必要書類
- 確定申告:売却した翌年の2月16日から3月15日までに、所轄の税務署に確定申告を行う必要があります。
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必要書類:
- 譲渡所得の内訳書
- 売買契約書の写し
- 登記事項証明書
- 住民票の写し(居住の事実を証明するため)
- その他、譲渡に関する資料
- 詳細な情報や最新の法令については、国税庁の公式サイトをご参照ください。
税務署からの確認事項 「固定資産税の残期間分の精算」
2つめは、「固定資産税の残期間分の精算」についてでした。
自宅の残代金の決済は10月末に行われました。固定資産税は、4月から翌年3月分までを、その年の1月1日時点の所有者が支払うことになっています。つまり、10月末に売却しても、11月から3月までの5か月分については、青山さんのお父さまが支払う必要があります。
このような場合、売買契約書に固定資産税の精算についての条項が盛り込まれていることが多く、通常は残代金の決済時に精算が行われます。
青山さんの場合も、11月から3月までの5か月分の固定資産税を計算し、売買代金とは別に、買主からお父さまに精算金を支払ってもらいました。その際、精算書も作成しています。