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2.「良い決算」とは?
決算は株価に強い影響を与えます。アメリカの投資家は非常にシビアですから、良い決算を出すことは企業が株主に果たす当然の責務と言えます。
では、良い決算とは何でしょうか。具体的には、「EPS」「売上高」「ガイダンス」の3つの項目がすべて事前のコンセンサス予想を上回る決算を指します。「EPS」「売上高」「ガイダンス」の3項目がすべてコンセンサス予想をBeatしていれば「良い決算」と評価できますが、1つでも取りこぼしがあれば、良い決算とは言えません。なお、ガイダンスについては企業側から発表がないこともあり、その場合はEPSと売上高の2項目がBeatしているかどうかで判断します。
「コンセンサス予想を上回っていれば良い決算」という基準はわたしが独自に作ったものではなく、アメリカの機関投資家やアナリストが共通して用いる決算評価の基準です。米国株投資家における共通認識と言って差し支えないでしょう。自分だけの基準にこだわるのではなく、大多数の市場参加者が用いる基準を重視するようにしてください。
良い決算を判断する指標〈1〉EPS
EPS(Earnings Per Share=1株当たり当期純利益)は、企業が1年間(または四半期)に稼いだ純利益を発行済みの株式で割ったもので、企業が1株あたりいくら稼いでいるかどうかを示す指標です。
自社株買いや株式分割によっても変動するため、見るべきポイントは数値の高低ではありません。EPSの実績値がコンセンサス予想を超えているかどうか、過去から現在にかけてどれだけ成長しているのかという成長率に着目しましょう。
良い決算を判断する指標〈2〉売上高
売上高は企業が稼いだ売上金額の総額で、あらゆるコストを差し引く前の収益そのものを表します。受取利息(Interest income)や受取配当金(Dividend income)は、売上にはならないため含まれません。売上高についても、コンセンサス予想を超えているかどうか、過去からの成長率に着目します。
良い決算を判断指標〈3〉ガイダンス/業績見通し(Outlook)
企業が来期(四半期または年間)EPS・売上高などの業績見通しを公表することを指します。コンセンサス予想は市場予想の平均値ですが、一方でガイダンスは企業自らが公表する業績予想です。主にプレスリリースやカンファレンスコールの場で、Outlook(見通し)として、「来期の売上高(収益)は〇〇ドルから〇〇ドルの範囲になると予想される」といった形で公表されることが多くなっています。
ガイダンスの公表は任意であり、企業に公表義務はありません。企業によっては、来期の見通しについて具体的な言及がないまま決算が終わることもあります。
未公表というだけでマイナス評価になることはありませんが、これまで公表していた企業が急に言及しなくなる際は要注意です。そのような変化に投資家は敏感で、「なぜ業績見通しについて急に言わなくなったのか。何かネガティブな要素があるのではないか」と思われることがあります。

