政府の取り組みと今後の展望
フィリピン政府は現在、電子産業の発展を支援するための構造改革を進めており、ビジネス環境の改善やFDI誘致に向けて前向きな動きが見られます。投資が増加すれば、グローバルなテックサプライチェーンのなかでの存在感を高め、高付加価値の輸出品への転換も期待されます。
また、インフラ整備の加速や民間・公共投資の連鎖的な活性化も見込まれています。 ただし、90日間の関税一時停止措置の終了後の見通しは依然として不透明であり、米国が半導体輸入に対して高関税を課すリスクも存在します。これは、地域全体のテクノロジー産業に大きな影響を与える可能性があり、フィリピンも例外ではありません。
フィリピン証券取引所の動向
フィリピン証券取引所(PSE)は、2025年の資金調達目標を1,700億ペソに引き上げました。これは前年の実績824億ペソや、当初目標の1,200億ペソを大きく上回る数字です。米中間の貿易戦争の緩和が市場に安心感を与えていることが背景にあります。
現在までに424億ペソが調達されており、今後の大型IPOとして、マニラ西部の水道事業者メイニラッド社や、電子決済アプリ「GCash」を運営するG-Xchange社の上場が期待されています。GCashの親会社であるMyntには、グローブ・テレコム社が36%を出資していますが、市場の変動によりIPOのタイミングは未定としています。
一方、メイニラッド社は最新の目論見書に基づき、7月17日の上場を目指しています。同社は2027年1月までに株式の30%以上を公開することが法的に義務付けられています。こうした状況を踏まえて、PSEの資金調達目標は達成可能とみられています。
また、米国市場の回復や貿易戦争の緩和により、IPOに適した時期と考えられます。 さらに、PSEは債券市場の取引所であるフィリピン・ディーリング・システム・ホールディングス(PDS)の株式を最大97%まで増やすことを目指しています。
現在、政府系金融機関である開発銀行(DBP)、土地銀行(Land Bank)、預金保険公社(PDIC)がPDSの一部株式を保有しており、これらの株式を取得するための交渉が進められています。この取引により、市場の一体的運営が進むと見られています。
