Aさんの“秘策”が一瞬でバレたワケ
調査官「ほう、それはそれは……お仕事されながら、勉強のために海外の学会にまで参加されるなんてご立派ですね。ただし、金額が200万円と高額なこともありまして、どなたと参加されたのか、もう少し詳しくお聞きしたいです。滞在中の領収書を確認させていただいてもよろしいですか?」
Aさん「え!? ええ……いいですよ。少々お待ちください」
内心「しまった」と思いながらも、Aさんは「もう逃げられない」と、件の“海外出張”に関する領収書を引き出しの奥から取り出し、調査官に渡しました。
すると、飛行機のチケットの申込者名には、家族4人の名前が記されています。怪しんだ調査官がさらに調査を進めるうち、領収書のあいだから観光地で肩を組んで写る4人の写真まで見つかりました。
調査官「Aさん、これはただの家族旅行のようですね。ずいぶんと楽しんでおられる……しかし、これは経費としては認められません。こちらを騙そうとしたのなら、立派な脱税行為ですよ」
Aさん「……」
Aさんのこの行為は悪質な隠ぺいと判断され、重加算税も含めた100万円超の追徴税を課されることとなったのでした。
海外渡航費を経費にする方法
今回の「隠ぺい行為」は言語道断ですが、そもそも、学会への参加や出張のために海外渡航を行った場合、経費計上は可能なのでしょうか?
法人が海外渡航のための費用を支出した場合、会社の経費として認められるためには、次の2つの条件を満たす必要があります。
1.その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであること
2.その海外渡航に通常必要と認められる部分であること
上記のように、業務の遂行上必要であると認められれば、法人の旅費として損金算入が認められます。
一方で、業務の遂行上必要であると認められない海外渡航の場合や、一般的な必要額を著しく超える金額であった場合には、原則として、これらは法人税の経費としては認められません。当該役員または使用に対する給与扱いとして、社長個人に対しても所得税が課税されます。
税務調査においては、その旅行の目的や期間、旅行先、経路等を勘案して「その渡航が業務遂行上必要なものか否か」が判断されます。
そのため、海外渡航費が否認されないためには、海外出張報告書や旅行日程表、パンフレット、メモ等により、海外渡航と業務の具体的な関連性を明らかにしておく必要があります。
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