家族で“海外出張”へ出かけたAさん
年収約3,000万円の医師Aさん(55歳)は、大学病院に勤めたのち「理想の医療を実現したい」という志をもってクリニックを開業。現在開業5年目で、多忙ながら充実した日々を送っています。
ある日、久々にまとまった休みをとることにしたAさん。久々に羽をのばそうと、家族での海外旅行を計画しました。
勉強熱心なAさんは、普段から最新の医療を学ぶために海外の学会へ出席するなど出張の機会も多く、渡航費はそのたびに経費として計上しています。
そこで「この旅行は経費にできないのか?」と考えたAさんは、「今回も、学会に参加する名目で海外に行けばいいんだ」と思いつきました。
「これまで苦労もあったと思うが、支えてくれてありがとう。久しぶりの家族旅行だ。今回は思いっきり贅沢しよう」
そういって、Aさんは家族とヨーロッパへ。有名な観光地は行き尽くし、豪華なホテルでゆったりと1週間ほど満喫。もちろん学会には行っておらず、仕事を忘れて旅を楽しみました。
そしてその翌年、税務署から連絡が入りました。聞けば、「税務調査に伺いたい」といいます。
Aさんは一瞬動揺するも「“あれ”があれば乗り切れる」と、調査を受け入れることにしました。
税務調査当日…Aさんが「乗り切れる」と考えていた秘策とは?
そして、迎えた調査当日。調査官は2名でやってきました。Aさんは緊張しながら出迎えましたが、調査は意外にも和やかな雑談からスタートしました。
その後、調査官はさりげなく売上についての資料をチェックしたあと、「旅費交通費」や「交際費」といった経費の詳細について質問を投げかけました。
調査官「こちらの海外出張ですが、計上されている金額が多額ですね。どんな目的で行かれたのですか?」
Aさん「ああ、それは学会に参加しまして。ほら、これです」
そう言って、Aさんは“証拠”としてその時期に行われた学会の資料を見せました。すると、調査官は感心した様子で、次のように言います。