税務署が「問題なし」と言ったのに…年金月7万円の73歳地主が1億円でアパート売却→1,000万円を納税も、2年後の税務調査で〈まさかの追徴税〉を課されたワケ【税理士が警告】

税務署が「問題なし」と言ったのに…年金月7万円の73歳地主が1億円でアパート売却→1,000万円を納税も、2年後の税務調査で〈まさかの追徴税〉を課されたワケ【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

近年税務署では、税務調査の前に「簡易な接触」といわれる電話や文書による問い合わせを行うケースが増えています。しかし、この「簡易な接触」で問題がないといわれても、あとになって税務調査が行われ、多額の追徴課税を支払うケースがあると、宮路幸人税理士はいいます。事例をもとに、その理由について本記事で詳しくみていきましょう。

73歳で社会人経験ゼロ…地主の苦悩

現在73歳のAさん。長年地主として生計を立てており、資産は約1億円にのぼります。Aさんの住まいは相続で引き継いだ実家です。

 

Aさんには10歳年の離れた妹がいます。母親は妹の出産時に他界。父親はショックで身体を壊し、以降は長男だったAさんが家族の世話をしてきました。A家は代々の地主であったことから金銭面に問題はなかったものの、精神的にも不安定な父親を置いて外へ出るわけにもいかず、Aさんが勤めに出ることはありませんでした。

 

晩年は生活面のこまごましたお世話から賃貸物件の管理にいたるまで、そのすべてをAさんが担っていたのです。

 

父親はそんなAさんを気遣い、遺言に「長男のAに遺産のすべてを相続させる」と残して逝去。

 

多額の遺産のほか、住んでいる自宅も賃貸物件を兼ねていることから、年間200万円の賃貸収入があり、さらに65歳以降は月7万円の年金収入があります。そのため、生活にはなんの問題もありませんでした。

 

しかし……。

 

ある日、妹が突然Aさんのもとを訪れました。予期せぬ来訪に驚きながらも喜んで家へあげると、玄関を入ってすぐ、妹が泣きながら土下座します。

 

妹によると「起業した息子が事業で失敗してしまった。このままでは自己破産するしかなく、どうか3,000万円ほど援助してくれないか」とのこと。

 

泣きながらも鬼気迫る妹の土下座に面食らったAさん。とはいえ、Aさんは相続の際「お兄ちゃんが家に残ってくれたおかげで結婚することができた。私は相続放棄するからお兄ちゃんが全部受け取って」と快く遺産を譲ってくれた妹に恩義を感じていました。


困り果てたAさんは結局、断腸の思いで自宅兼賃貸物件を売却することに。幸いにもすぐに買い手が見つかり、1億円で売却することができました。

 

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