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「美術品」の相続税申告後に問題が発覚
相続人であるAさんは、被相続人であるBさんが生前に取得した美術品を相続財産に含めて相続税の申告を行いました。しかし後日、Aさんはこれらの美術品の一部について「相続開始時点で実際には存在していなかった」「当初の評価額が過大である」として、更正の請求を行いました。更正の請求とは、確定申告を行ったあとで申告内容の間違いに気づいた際に行う手続きです。
しかし、税務署はこの請求を認めず、最終的に国税不服審判所で争われることになりました。
この事例における主な争点は次の2点です。
1.相続開始時に、対象とされる美術品が実際に存在していたか
2.美術品の評価額が「相続開始時の時価」として妥当だったか
とくに後者については、当初の査定と後日の再査定で評価額に大きな差が出たことから、その信頼性と評価方法の妥当性が問題となりました。
美術品評価の基本ルール
相続税における美術品の評価については「相続開始時の時価」によって行うのが基本ルールです。
この「時価」の算定にあたっては、時点性・客観性・妥当性を備えていることが求められ、財産評価基本通達では売買実例の有無に応じて次のように定められています。
・市場における売買の実例がある場合は、それに基づいて評価する。
・実例がない場合は、「精通者意見価格」をもって評価額とする。
この「精通者意見価格」とは、当該資産に関して十分な知識・経験を持つ専門家が、その評価時点での市場価値を見積もった価格のことです。
