(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大を機にテレワークが一般的になりました。本記事では、テレワークの種別や「リモートワーク」「在宅ワーク」との違いについて、国土交通省国土審議会委員や総務省地域情報化アドバイザーを務める、田澤由利氏の著書『改訂版 テレワーク本質論 企業・働く人・社会が幸せであり続ける「日本型テレワーク」のあり方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し詳しく解説します。

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リモートワークとテレワークの違い

「リモートワーク」という言葉もよく使われています。「テレワーク」との違いを質問されることがあります。

 

「テレワーク」との違いは、「テレワーク」は造語であり、国が定義をしている「働き方」です。これに対し、「リモートワーク」は、「遠隔」という意味の「リモート」と「ワーク」を組み合わせた「一般的な複合語」であり、特別な定義はありません。

 

世間では、テレワークとほぼ同じ意味で使われているので、それを否定するわけではありませんが、「リモートワーク」には時間の概念はなく、「テレワーク」には時間の概念が組み込まれていることが重要な点です。

 

私自身、テレワークという言葉を長年使ってきており、「リモートワーク」よりはるかに思い入れがあります。なにせ起業した会社の名前も「株式会社テレワークマネジメント」。2008年の会社設立時には、社名に「テレワーク」という言葉を入れることを周りに心配されました。ちょうど国がテレワークを推進し始めた頃でしたが、国の政策も今後はどうなるか分かりません。

 

もしかすると、数年後にはテレワークが死語になってしまうかもしれないと懸念する方もいました。確かに、言葉は移り変わっていくものです。例えば一時期流行った「ノマドワーク」という言葉は、今は誰も使わなくなってしまいました。

 

しかし、私は「テレワーク」という言葉が、将来使われなくなるとは思っていませんでした。むしろ、自分が日本のテレワークを広げていくのだという強い想いで「テレワークマネジメント」という社名に決めたのです。

在宅勤務と在宅ワークの違い

「テレワーク」という言葉に関連して、もう1つ曖昧な使われ方をしているのが、「在宅勤務」と「在宅ワーク」です。この2つの言葉は定義されているものではなく、「リモートワーク」と同様に、一般的な複合語と考えていいでしょう。どちらも「在宅」で働くことですが、「勤務」と「ワーク」の部分が異なります。一般的には「勤務」は、会社に勤めること、つまり雇用されて働いている状態を示します。これに対して「ワーク」は仕事全般を示します。

 

「在宅ワーク」は2000年前後に流行った言葉で、子育てや家事のため、会社に通いにくい状況の主婦が「自宅でパソコンを使ってお小遣い稼ぎをする」というケースで使われていました。今もその流れがあり、「働きに出にくい人が、自宅で少し仕事をする」という働き方をイメージするといいでしょう。

 

ちなみに、日本における労働者は、9割近くが雇用されて働いています。残りはフリーランス(個人事業主)だったり、経営者だったりします。後者は、もともと「働く時間や場所を自分で決める」ことができます。つまり、「テレワーク」をしようと思えば、いつでもできることになります。

 

一方、雇用されている人は、どんなにテレワークをしたいと思っても、所属している企業が許可をしないと柔軟に働くことができません。「日本の働き方を変える」という視点からは、国が雇用されている人のテレワーク、つまり企業が導入する「雇用型テレワーク」に力を入れるのはやむを得ないことだと思います。

 

本記事でも、基本的に「雇用型テレワーク」の話をしていますが、私としては、フリーランス(個人事業主)の「自営型テレワーク」への施策も重要であると考えます。自由度はあるものの、労働基準法の対象外であり、厳しい働き方でもあるからです。

 

国としても、すべての働く人が、適切なテレワークができる日本を、という視点から、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法、フリーランス保護法)が、2023年4月28日に成立し、2024年11月1日から施行されています。

 

 

田澤由利

株式会社ワイズスタッフ/株式会社テレワークマネジメント

代表取締役

総務省地域情報化アドバイザー

 

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※本連載は、田澤由利氏の著書『改訂版 テレワーク本質論 企業・働く人・社会が幸せであり続ける「日本型テレワーク」のあり方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・編集したものです。

改訂版 テレワーク本質論 企業・働く人・社会が幸せであり続ける「日本型テレワーク」のあり方

改訂版 テレワーク本質論 企業・働く人・社会が幸せであり続ける「日本型テレワーク」のあり方

田澤 由利

幻冬舎メディアコンサルティング

日本初のテレワーク専門コンサルティング会社を設立し、30年近くにわたり企業への導入を支援してきた第一人者の渾身の一冊『テレワーク本質論』。よくあるテレワーク指南書にとどまらずテレワークの本質的な価値とその可能性を…

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