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育児・介護休業法改正の目的は「仕事との両立」
2025年4月1日から段階的に施行されている「改正育児・介護休業法」におけるポイントを解説します。
「育児・介護休業法」という名称からは、育児や介護に携わる人が休みを取れるようにする法律のように思われます。実際、育児や介護で働きにくい状況の人が「休みやすくする」ための内容が多くあります。
まずは、全容をつかんでいただいた上で、「テレワーク」に関連するものについて深掘りをしていきたいと思います。
2021年に改正された「育児・介護休業法」では、「男性の育児休業取得」がメインでした。この改正のあと、男性が育児休業を取得しやすくなったという声をよく聞きます。しかし、この法律は、休ませることだけが目的の法律ではありません。育児や介護と、仕事を「両立できるようにする」ための法律でもあるのです。
「男性の育児休業取得」も、パパが一定期間休むことで、共に育児をし、出産後のママの肉体的・精神的負担を軽減し、パパもママも働き続けやすくなります。
とはいえ、今回の改正の目的は、「休む」だけでなく、「働く」ことで仕事との両立を実現することであると、私はとらえています。これが「テレワーク」が入った大きな理由ではないでしょうか。
[図表1]をご覧ください。厚生労働省が公開しているリーフレット『改正育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正のポイント』の内容を、私の視点で整理したものです。
「育児」に関する施策については、出生から就学まで、左から右へと子の年齢に応じて推移しています(下部にある「介護」に関する施策は時系列ではない)。グレーの枠が従来の内容で、黒い枠が今回追加された内容です。そして、黒で塗りつぶされた項目が「テレワーク」に関するものです。
テレワークに関する改正項目
テレワークに関する改正項目は、以下となります。
・短時間勤務の代替措置に「テレワーク」を追加
・新規に「柔軟な働き方選択」制度を事業主の義務に
・要介護状態の家族を介護する従業員に対し、テレワークが企業の努力義務に
[図表1]の白抜き文字で記載の項目をご覧いただいて分かるように、「育児」においては、出生から小学校就学前まで、「介護」においては、介護時期と、テレワークが各時期に関連していることが分かります。テレワークに関する内容については、のちほど詳しく解説させていただきます。
子育てに関する改正項目(テレワーク関連以外)
「テレワーク関連」を除く、子育てに関する改正項目は以下となります。
・子の看護休暇の拡大
・仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主の義務に
・育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大
私が注目するのは、「残業免除の対象拡大」です。2009年の改正育児・介護休業法により、3歳未満の子を養育する従業員が申し出た場合、事業主は時間外労働(残業)を免除することが義務となりました。これにより、企業は該当社員からの「残業しません」という申し出を拒否できなくなりました。
今回の改正で、「残業免除」の対象が、「3歳未満」から「小学校就学前」までに延長されます。もちろん女性だけでなく男性も対象です。「働き方改革」で残業時間削減が進んでいますが、さらに企業は「業務の効率化」を進めることになります。
介護に関する改正項目(テレワーク関連以外)
親の介護に関しては、以下が「テレワーク」関連を除く、改正内容です。
・両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備を義務とする
働く人も、その親も、高齢化が進み、「介護離職」が増えることが予想されています。子育てだけでなく、介護と仕事を両立して、より長く働き続けることができるよう、配慮されています。
以上、「テレワーク」関連を除く改正の詳しい内容は、厚生労働省のホームページにある「育児・介護休業法について」をご参照ください。
