税務署が「問題なし」と言ったのに…年金月7万円の73歳地主が1億円でアパート売却→1,000万円を納税も、2年後の税務調査で〈まさかの追徴税〉を課されたワケ【税理士が警告】

税務署が「問題なし」と言ったのに…年金月7万円の73歳地主が1億円でアパート売却→1,000万円を納税も、2年後の税務調査で〈まさかの追徴税〉を課されたワケ【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

近年税務署では、税務調査の前に「簡易な接触」といわれる電話や文書による問い合わせを行うケースが増えています。しかし、この「簡易な接触」で問題がないといわれても、あとになって税務調査が行われ、多額の追徴課税を支払うケースがあると、宮路幸人税理士はいいます。事例をもとに、その理由について本記事で詳しくみていきましょう。

税務署からの“お尋ね”に回答→「問題なし」と言われたが…

アパートを売却してから約2年後のある日、Aさんのもとに税務署から連絡がありました。聞けば「譲渡費用について聞きしたい」とのこと。

 

「金額が大きかったからかな」

 

Aさんは特段気にせず冷静に売却の詳細を説明。職員も納得し、その後しばらくはなにもありませんでした。

 

しかし、しばらくして、税務署からAさんのもとに「税務調査に伺いたい」との連絡が。調査を受けた結果、「譲渡所得」について税務署から否認され、加算税を含め追徴税約150万円を納付するはめになったのです。

 

一度は「問題なし」とされたにもかかわらず、Aさんの申告のなにがいけなかったのでしょうか?

土地売却時の申告内容は、税務署に目をつけられやすい

土地を売却すると、その「譲渡所得」に対して所得税がかかります。不動産売却による譲渡所得は、次の計算式によって求めることができます。

 

不動産売却による譲渡所得=不動産売却代金※1-(取得費※2+譲渡費用※3

※1 不動産売却代金……固定資産税日割精算分を含む。
※2 取得費……不動産の購入費用や支出した改良費・設備費などの合計額。ただし、古すぎて取得費がわからない場合は、売却金額の5%が取得費となる。
※3 譲渡費用……不動産仲介会社への仲介手数料や土地の測量費、立退料、土地を売却するための取り壊し費用など、不動産を売却した時にかかった諸費用のこと。

 

土地の譲渡所得は個人課税かつ高額となるため税務署から目をつけられやすい傾向にあります。申告で誤りがあった場合、その追徴税額も高額になるためです。

 

また、譲渡費用の計上が多額である場合、その計上は適正か、その譲渡のために必要であるかについても厳しくチェックされます。

 

Aさんは不動産売却に際しておおよそ1,000万円の譲渡所得税が発生していました。また以前から、この売却物件に住んでいる神経質でクレ-ムの多い入居者と長年トラブルとなっており、裁判に発展。この裁判が長引いて約500万円の弁護士費用が発生していました。実はAさん、この弁護士費用も譲渡費用に計上し、自身で申告を済ませていたのです。

 

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