(画像はイメージです/PIXTA)

在宅医療の診療報酬は、2024年に介護報酬と同時に改定されました。在宅診療において、患者が「個人宅在住者」である場合と「施設入居者」である場合とでは、その報酬は大きく異なります。本記事では、訪問診療報酬の仕組みについて、医療法人あい友会理事長の野末睦医師が経営者の視点から詳しく解説します。

今後、求められる対応

たとえ今は採算が取れているとしても、今後の改正で診療報酬が下がった際に、対応できるのか、どのように対応していくかを考える必要があります。

 

とはいえ不思議なことに、運営方針を意識しすぎず、依頼された患者さんをすべて受け入れていくと、大方の場合は、個人宅の患者さんが3割、施設の患者さんが7割、といった割合に収束していきます。

 

これはどういったことかというと、個人宅の患者さんは、末期がんなど重症な方が多く、入れ替わりが激しいのが特徴です。これまでの経験から、末期がんであれば60%の方が1ヵ月以内にお亡くなりになり、90%の方が3ヵ月以内にお亡くなりになるのではないかと想定します。

 

実際に、たくさん紹介していただいても患者さんの数はどんどん減っていき、また新しく紹介していただいて、またお亡くなりになる…というように、患者さんのサイクルが早いという側面があります。

 

一方で、施設からは、運営者側から入居者20~30人の規模で「この施設の入居者さん全員をお宅のクリニックにお願いします」というように依頼されます。すると、患者さんが一気に30人増えることになりますし、そのうちの患者さんが1人お亡くなりになっても、次の入居者、つまり患者さんを施設が探してくるため、施設の患者さんというのは、施設から依頼されると積み重なるように増えていきます。

 

そのため、クリニックを運営していると、個人宅の患者さんのほうがたくさん紹介をいただき、施設の患者さんの方が割合としては少なく紹介されるものの、患者さんのサイクルの違いから、いつのまにか個人宅の患者さんが約3割、施設が約7割、といった割合になっていくのです。

 

診療報酬の算定ルールを意識しながら運営方針を考える必要がありますが、個人宅と施設で紹介していただく人数が違えば、回転率も違うため、方針通りにいくのかの予想は難しい、ということを念頭に置いていただければと思います。

 

(※1)管理料
訪問診療における「基本の報酬」に含まれる料金。「基本の報酬」は診療料と月間管理料から成る

 

(参考)
診療報酬制度について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken01/dl/01b.pdf

 

(※2)令和6年度診療報酬改|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251538.pdf

 

 

野末 睦
医師、医療法人 あい友会  理事長

 

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