(※画像はイメージです/PIXTA)

昨今進化が目覚ましいロボット技術やAIですが、人手不足が深刻化する建築業界においても、調査作業などをはじめ導入および研究が進んでいます。本稿では、建築・土木構造物の検査等を行う(株)ジャストの代表・角田賢明氏の著書『改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し詳しく解説します。

生成AIの様々な活用

また、生成AIではChatGPTが有名ですが、事務作業を大きく変えるポテンシャルを持った技術であるため、Slack(ビジネスメッセージアプリ)内で使える環境を準備し、社内勉強会を通じて使い方のレクチャーや社内での活用シーンの共有などを積極的に進めています。

 

検査・調査業務とAI画像解析技術は相性が良いと考えており、私たちも盛んに研究開発を続けています。画像AIの分野では、ディープラーニング技術を活用して、橋梁や下水管などの点検におけるひび割れや損傷の検出が行われています。

 

これにより、従来人間が行っていた外観検査をAIが担えるようになります。これが実現すると、より迅速で正確なデータが得られるようになるはずです。

 

例えば、私たちが開発した「スマカン」というソフトウェアは、ディープラーニングを用いて診断を自動で行う機能も備えていて、継手や取付管のような明確な形状はかなりの精度で識別できます。

 

しかし、これらの技術にはまだ解決すべき課題が残っています。画像AIにおいては、特定の情報を正確に抽出することにまだ問題があります。継手や取付管のような分かりやすい構造なら高精度で検出できても、ひび割れのような損傷は、撮影条件によっては誤認識する場合も多々あります。体感だと6、7割の精度だと思います。

 

そうなると、AIで認識させても最終的に全数人間がチェックせざるを得ず、実務レベルではほとんどメリットがないのです。

 

しかし、AIは進化するものなので、この課題を克服し実際の業務で使える日もいずれ訪れると期待しています。

 

さらに、長期的な展望としては、企業内のコミュニケーションや情報管理にAIを使うことも考えています。また生成AIを利用した自動応答システムができれば、顧客の質問にも迅速に答えることができると思います。

 

画像AIによってリアルタイムで外観をチェックさせることが可能になれば、異常を即時に検知できるようになり、調査業務に革新をもたらすと期待されています。

 

 

角田賢明

株式会社ジャスト

代表取締役社長

※本連載は、角田賢明氏の著書『改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・編集したものです。

改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本

改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本

角田賢明

幻冬舎メディアコンサルティング

高度経済成長期に建設された多くの構造物が築50~70年を迎え、耐用年数の限界に直面するなか、その対策は喫緊の課題となっています。特に橋梁やトンネル、官公庁施設などの社会インフラの老朽化は、我々の生活にも直結すること…

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